森保監督「笑顔になって」広島へアジア杯V届ける

18年10月のウルグアイ戦でかつて広島で指導した青山(左)にアドバイスする森保監督

サッカー日本代表森保一監督(50)が、原点「広島」の経験を生かしてアジア制覇を目指す。日本が2大会ぶり5度目の優勝を目指すアジア杯(UAE)が5日に開幕する。森保監督が初めて臨む公式戦で、広島で開催された92年の同大会ではJリーグ・サンフレッチェ広島の現役選手として日本の初優勝に貢献した。思い入れの深い大会で今回は監督として指揮を執る。胸には昨年7月に西日本豪雨で被災した広島への思いを秘め、中東から地元へ最高の結果を届ける。

      ◇       ◇

挑戦への舞台が整った。森保監督率いる日本は、アジア杯で2大会ぶり5度目の頂点を目指す。代表監督として初めて臨む公式戦。森保ジャパンの真の船出とも言える大会だ。

「前回は優勝できなかったが今回で優勝を奪還して、日本にタイトルを持ち帰れるようにしたい。優勝するには(1次リーグから決勝まで)7試合戦わないといけない。その中でまだまだチームは成長しないといけない。1試合1試合戦う中で最後に優勝をつかみ取れるようにしたい」

実は森保監督にとってアジア杯は思い入れが深い。日本が初優勝を果たした92年大会の日本代表メンバーだった。当時Jリーグ広島所属の森保監督は、地元広島での開催で優勝を経験。まだ24歳の若手ボランチで、初戦のUAE戦は国際Aマッチ4試合目の出場だった。それでも全5試合中、累積警告で出場停止だった決勝を除く4試合に出場し、存在感を発揮。「盛り上がりに感動したのを覚えている」。選手として、代表として地位を確立した原点が広島でのアジア杯にあった。

「勝った喜びをまた味わいたいと思う。優勝の喜びは何度味わってもいいと思うし、あの時(92年)優勝した後の幸せな気持ちにまたなれるよう、モチベーションを持ってやっていきたい」

もう1つ、モチベーションがある。それは広島へ勇気を届けること。昨年7月、西日本豪雨が地元を襲った。自身も9月に代表の親善試合が予定された札幌で、大地震を経験するなど心を痛めてきた。

「いろんなところで自然災害が起こったと思う。西日本豪雨、関西では台風21号とか、北海道なら大地震で被災された方々や傷ついた方がたくさんいた。そういう方々を我々は勇気付けたり、励ましたり、活動を通してやっていきたい。結果を持って皆さんが笑顔になってもらえるような活動を(アジア杯で)したい」

UAEから原点の広島へ。17年途中で広島の監督を退任したが、今も生活の拠点は広島にある。出身地は長崎だが、広島は事実上のもう1つの故郷。選手としても、指導者としても長い年月を過ごした広島への思いは深い。昨夏のワールドカップ(W杯)ロシア大会後からはオリンピック(五輪)代表だけではなく、日本代表監督も兼務し、多くのサポーターの願いを背負う。2019年の始まりと同時に、森保監督にとっての戦いの幕が開ける。【小杉舞】