久保建英放った格別の存在感、至高の武器で空気一変

後半、久保建英はシュートを放つ(撮影・狩俣裕三)

<キリンチャレンジ杯:日本2-0エルサルバドル>◇9日◇宮城

日本代表に初選出されたMF久保建英(18=東京)が、上々のデビューを飾った。

後半22分から途中出場。トップ下に入ると、スタンドは大歓声に包まれた。「最初のタッチとか結構、『これを失敗したら…』と思ったけど」。ひしひしと伝わる期待に、緊張も素直に口にした。

そんな重圧もものともせず、スタジアムの空気を一変させた。直後のプレーでFW大迫勇也からのパスを右サイドで受けると、ライン際でDF2人に囲まれた。「入ってすぐだったのでいこうかなと。2人の間を狙った。いい感じに抜けられた」。武器とする、狭い局面を打破する鮮やかなドリブルを披露した。いきなりファンを魅了し、スタンドをどよめかせた。

そのまま持ち込み、左足でシュート。得意とする形に持ち込んだが、低く鋭いシュートは惜しくもGKの正面をついた。「(遠いサイドに)巻こうと思ったけど、浮き上がらなかった。残念です」と悔しがったが、デビューしてわずか数分の18歳にはゴールしか見えていなかった。

終盤にはMF中島翔哉からパスを受けると、ワンツーで前方へ走る中島へリターンパス。「自分と似たような感じ、ではないけど。持った瞬間になにを考えているか分かった」。鮮やかな連係から、中島がペナルティーエリア目の前でのFKを得た。「俺がもらっていたら、俺が蹴っていたけど」と冗談交じりに話す表情にはたしかな手応えが感じられた。

「短い時間だった」振り返るプレーの中でも、十分に放った存在感。「みんなが気を使ってくれた。小林選手がいいパスくれたり。特徴を引きだそうというか、気持ちよくプレーさせようという意図も感じた。助けてもらった」と、先輩たちの力に感謝を口にした。

そして同時に「これからは、もう1回やっているので、甘い世界でない。自分の力だけでいいプレーを見せられるようになれたら」と力強く語った。

キリンチャレンジ杯2試合が終了したが、久保には14日開幕の南米選手権(ブラジル)という大舞台が待っている。「強い相手の方がいい。そこで活躍できれば自信になるかなと思う」。強豪との対戦に、目を輝かせた。【岡崎悠利】