森保日本、丸見えピッチから“意地の非公開練習”

険しい表情でピッチを見つめる森保監督(撮影・河野匠)

【ヤンゴン(ミャンマー)8日】日本代表が“意地の非公開練習”を敢行した。10日の22年ワールドカップ(W杯)カタール大会のアジア2次予選ミャンマー戦(アウェー)に向け、現地で練習。当初は四方に柵のない丸見え状態の練習場を予定していたが、開始時間を1時間遅らせ、非公開が可能な本番会場での練習に急きょ変更した。FIFAランキング135位の格下相手とはいえ一切の妥協なき調整。W杯アジア予選初の全勝突破へ、隙なく突き進む。

相手が格下だろうが、大事なW杯予選の初戦。森保ジャパンの“ガチモード”は不変だった。練習開始から約15分後、非公開練習を行うことが報道陣にアナウンスされた。試合2日前は冒頭15分のみを公開。その後は周囲の目をシャットアウトした状況にして情報漏れを防ぎつつ、より集中して戦術練習などに励む。その通例通り、チーム関係者が報道陣をピッチが見えない場所へといざなった。

いつも通りの見慣れた光景だが、この日はチームの勝利への執念と意地で作り出されていた。当初は前日7日と同じ、幹線道路と列車が走る線路に挟まれ、周囲には柵ではなく畑がある練習場を使用予定だった。もしそこで実施すれば、非公開練習をしようにも丸見え状態…。チームからの「見ないで下さい」といったお願いベースの“善意”に頼るしかなかった。日本メディアはともかく、相手側に“和の心”が伝わるかは不明。W杯予選だけに、偵察隊が潜んでいても不思議ではない。敵に情報が漏れる危険が、プンプン漂っていた…。

仮に見られたとしても、ミャンマーとは力の差が歴然だから大丈夫-。そんな楽観的な思考や甘い見通しは、森保ジャパンには皆無だった。直前に、異例の練習開始時間と会場の変更を実現させ、万全の環境を整えた。本番と同じ試合会場で事前に2日も練習をすることでミャンマーの“地の利”も減退させた。

日本出発前、森保監督は「難しい環境の中でもしっかり勝っていけるように最善の準備を出来れば。すべて『あるある』だと思って、その場に合わせて、相手よりもうまく乗り切ってやっていければと思います」と覚悟を口にした。現地での練習初日は練習中にスコールに襲われ、田んぼ状態のピッチで調整。この日も非公開練習ができないとなれば、2日連続でアウェーの“洗礼”を受けるはめになっていたかもしれない。7大会連続W杯への意地と熱意で、わずかな不安要素も振り払った。今の森保ジャパンに、不安も隙も見当たらない。【浜本卓也】