警戒は芝と2選手?ミャンマー在住選手が語る攻略法

ミャンマー代表について語ったジェガビン・ユナイテッドFCの松本(撮影・河野匠)

【ヤンゴン(ミャンマー)9日=浜本卓也、杉山理紗】ミャンマーリーグで活躍する日本人選手がいる。元ジェフ千葉のMF松本憲(32)だ。ミャンマー在住7年目、ヤンゴンのジェガビン・ユナイテッドFCに所属し、誰よりもミャンマーサッカーを知る男に攻略の極意を聞いた。

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格下ミャンマー相手の初戦だが、軽くみていると、痛い目に遭う。

■敵は“天候”と“ピッチコンディション”

試合会場は、松本の所属クラブの本拠地。他と比較して「雨が降ると常に土が軟らかい」。とりわけ弱いのがタッチライン沿いの芝だという。「慣れていないと疲れるほど」。サイドを主戦場とする選手は、スリッピーなピッチに気をつけないといけない。

雨期のミャンマーにスコールはつきもの。日本代表が現地入りしてからは、試合が行われる夕方以降に降っている。豪雨の中で初戦を迎える可能性もある。ミャンマーリーグでは、スコールで試合が中止になったことも。風が吹けば、雨粒がたたきつけられ、痛みを感じることも。ただの雨だと高をくくっては痛い目に遭う。

■注目は9番と10番

背番号9のFWアウン・ツは、テレビCMにも出演する国民的スター。「ちょこちょことドリブルで仕掛けたり、人を使うこともできるタイプ」で日本でいうMF久保のような存在だそう。10番のFWコー・コー・チョーはパンチあるシュートの持ち主。ミャンマー人には珍しくフィジカルの強いタイプで、スピードがあり体もゴツい。彼らを含めた前線の4人は「我慢できずに攻めたくなっちゃうタイプ」。格下だけに、守備を固めてくると決めつけていると、思わぬ積極性に戸惑う可能性もある。

■有利なセットプレーで決めろ

ミャンマーは上背のある選手が少なく、セットプレーでは日本が圧倒的有利。さらに、GKチョー・ジン・フテトはハイボールの守備が苦手だという。

日本が圧倒的有利という見方を松本も支持する。だが、何が起こるか分からないのがアジアの戦い。油断大敵。おごりは許されない。【杉山理紗】

◆松本憲(まつもと・けん)1987年(昭62)8月28日、神奈川県生まれ。明徳義塾から06年当時J1の千葉に加入。アルビレックス新潟シンガポール、Y.S.C.C.横浜、盛岡と渡り歩き、13年からミャンマーでプレー。現在はジェガビン・ユナイテッドFCでトップ下として活躍。J1出場通算8試合。176センチ、68キロ。利き足は右。家族は妻と1男1女。陸上の末続慎吾はいとこ。

◆ミャンマー代表 FIFAランキングは135位、ワールドカップ(W杯)出場なし。日本との対戦成績は2勝5分け5敗。直近の試合は94年10月9日のアジア大会で、日本が5-0で勝った。アウェーでの対戦は1-1で引き分けた65年3月22日以来。ほとんどの選手が自国リーグで戦っているが、タイリーグでプレーする選手も数名いる。セルビア人のラドゥロビッチ監督は今年1月~2月のアジア杯でレバノン代表を率いていた。5日のW杯アジア2次予選初戦ではアウェーでモンゴルに0-1で敗れ黒星発進。同戦で攻撃の中心選手MFマウン・ルウィンが退場しており日本戦は出場できない。