日本サッカー殿堂の第16回掲額式典が10日、東京・本郷のJFAハウスで行われた。98回目を迎えた日本サッカー協会の創立記念日に今年は3氏を表彰。

96年アトランタ五輪代表監督と18年W杯ロシア大会16強の日本代表監督、西野朗氏（64＝タイ代表兼任監督）。初出場した98年Ｗ杯フランス大会、自国開催以外で初のベスト16に入った10年W杯南アフリカ大会の日本代表監督、岡田武史氏（63＝JFL・FC今治会長）。11年女子W杯ドイツ大会で日本を初優勝に導き、12年ロンドン五輪と15年女子W杯カナダ大会で準優勝した前なでしこジャパン監督、佐々木則夫氏（61＝J2大宮トータルアドバイザー）が殿堂入りした。

佐々木氏は、冒頭で今夏の女子W杯フランス大会と来夏の東京オリンピック（五輪）について語った。「フランス大会、頼まれごともあって全試合、日本の試合を見させていただきました。来年の五輪は惜しかったでは済まない。来年の五輪、非常にキーになる大事な大会だと思う」

続いて女子の指導を始めた経緯を聞かれ「女子人気が、かさ上げされ始めていたころでしたね」と司会の山本浩氏に振られると「そんなに期待されてましたかね。そうでもなかったような」と苦笑い。まだブレークには程遠かったとした上で「なかなか予選も突破できない状況下、大橋前監督がコーチに呼んでくれて。Jヴィレッジに合宿を見に行った時、こういったチームなら1番になれるんじゃないかと思った。今までNTTや大宮ユースで指導してきましたが、ユースも埼玉県内で3、4番手の選手たち。NTTもサラリーマン中心で。そういったところでずっと指導してきたので、女子もスタイルが合うんじゃないか、一助になるんじゃないかと思った。1年、待っていただいたんですけど、大仁さん（日本協会の前会長）からも誘われて、大橋監督とともにやってみようかなと」

「NTTは非常にいい会社でしたけど退社して。出向じゃなくていいのか？　1、2年で協会はクビになるぞ！　と言われましたけど、プロのライセンスも取って頑張ろうと思っていたし、妻も『あなた、やりたいんでしょ』と。娘も松山女子高校のサッカー部で『パパなら大丈夫じゃない』と勘めいたことを言ってくれたので、引き受けようと思いました」

ここで、佐々木氏の淳子夫人と長女の千尋さんが登壇。淳子さんは「脱サラして主人のやりたいことをやっていただきたかった」と即答で容認し、千尋さんも「父には素晴らしい道を見せていただいた。自分がいた女子サッカー部の中にパパが入ってきても、同級生も気を張らなかったし、千尋のパパ、パパ、ってすんなり入り込んでいた。それで、いいんじゃないかな、合うんじゃないかなと思って。最終的に、功績として結果になったことは良かったし、感謝しております」と殿堂入りを喜んだ。

再び司会の山本氏から「参謀が家庭の中にいたわけですね？」と振られると「いや、ホントにそう。いつも『あのコメントは調子に乗ってるよ』とか『選手には、さん付けしなさい』とか言ってくれたので」

最後に、来年の東京五輪を目指す現なでしこジャパンへ「ぜひ高倉監督にはメダルを、どんなメダルでもいいので取ってほしい。そうすれば、また盛り上がっていく。私もバックヤードで貢献していきたい」と今後のサポートを約束した。