【日本代表】冨安健洋「勝てばいいもんじゃない」欧州遠征2連勝も笑顔がなかった理由

9日、日本対ドイツ ドリブルする冨安健洋(撮影・パオロ ヌッチ)

【ゲンク(ベルギー)13日=岡崎悠利】日本(FIFAランキング20位)が国際親善試合キリンチャレンジ杯(12日)でトルコ代表(同41位)に4-2で勝利し、9日のドイツ戦から連勝で欧州遠征を終えた。先発を10人入れ替えた中、結果的に快勝も、後半は1点差に詰め寄られて守勢に回る場面もあった。試合後、DF冨安健洋(24=アーセナル)は一瞬のすきも許されないと笑顔なし。26年W杯北中米大会で勝ち進むために、世界基準で戦うメンタリティーをチームに浸透させる。

4発での勝利にも、冨安に笑みはなかった。「緩みは出た。間違いなく」。3点を先行したことで緊張の糸がわずかにほつれたのを、ベンチから見て感じていた。前半44分に1点を返されると、後半16分にも失点。途中出場のエース伊東が個人技で4点目を取るまで試合は分からなかった。「3-0、4-0で緩めず、殺しきる。ピッチにいたら後ろから締めることはより意識したい」。

アーセナルの所属する世界最高峰プレミアリーグ。冨安自身はまさに生きるか死ぬかの場と考えている。試合はもちろん、チーム内競争も含めて。集う猛者たちに、隙を見せれば淘汰(とうた)される。クラブからの要求が高く「自信を失った時機もあった」。3月に手術した右膝を含めて自身の脚に残る幾多の傷痕が、言葉に説得力を持たせる。

毎日が修羅場。そんな世界トップの世界で戦い続けて、相手を恐れることはなくなった。ドイツ、トルコからの連勝にも「僕らにとってそれが当たり前になるべき。(トルコ戦は)すっきり勝ったわけじゃないし、勝てばいいもんじゃない。上を目指すからこその感覚。いい状況だなと」。欧州の実力国が相手でも、もはや勝って喜ぶ段階ではない。

トルコ戦では後半34分から出場し、フィジカルが強みの相手を肉弾戦でシャットアウト。ドイツ戦では失点を許したサネを1対1で吹っ飛ばし、W杯カタール大会以来、約10カ月ぶりに代表参加となった男の存在感は絶大だった。胸の隅には、PKで涙をのんだW杯クロアチア戦の悔しさが常にある。「(26年)W杯まで3年あるけど、全部勝てればいいし、それを目指さないと」とW杯までの“全勝宣言”。日本代表で誰よりも世界基準を知る男が強者のメンタリティーをチームに注入していく。

◆日本-トルコ戦VTR 日本は9日のドイツ戦から、左SBのDF伊藤洋を除くスタメン10人を変更。初招集DF毎熊が代表デビューを果たした。前半15分にMF伊藤敦が自身の代表初ゴールとなるミドル弾で先制。28分、36分とMF中村敬が決めて早々と3点差にした。しかし44分に1点を返され、後半16分にも失点すると一進一退の攻防に。同点になってもおかしくない場面もあった。同33分に途中出場のエース伊東が個人技でPKを獲得して自ら成功。2点差とした終盤の34分に冨安を投入し、逃げ切った。