<キリンカップ:日本2-1ニュージーランド>◇5日◇決勝◇MUFG国立
日本代表(FIFAランキング17位)がニュージーランド代表(同86位)を破り、キリン杯の優勝を15年ぶりに果たした。12度目。森保一監督(58)にとっては、ワールドカップ(W杯)北中米大会の後、初タイトルとなった。
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森保監督が日本サッカー界にもたらしたものは何だったのか。森保ジャパン国内ラストマッチという節目を迎えた中で、浮かび上がるのは歴代最多111試合の指揮、FIFAランキングの上昇(55位→17位)、初のW杯2大会連続指揮といった偉大な記録だ。8年超の長期政権で残してきたものは数知れない。
中でも特筆すべきは日本サッカーの世界的プレゼンスの向上だ。22年W杯カタール大会でドイツ、スペインという優勝経験国を連破。極東の弱小国から実力国の1つとしてリスペクトを集める存在になった。
昨年12月のW杯抽選会では、国際サッカー連盟のインファンティノ会長から「日本は良いチームだな」と直接声をかけられたという。今夏のW杯北中米大会では、強豪国オランダが日本を警戒し、引いて守り固める戦術を採用。世界各国から「MORIYASU」は恐れられた。
監督本人を取材を通して感じるのはピュアさとしたたかさの兼備だ。素顔は裏表のない「Theいい人」。プライベートでもファンを見つけると、自ら歩み寄って写真を撮りに行く。人が喜んでいる姿を見るのが好きで「可能なら、1億2000万人にシャツを配って回りたい」と言っていた。どれも日本サッカーの和が広がることを願っての行動。W杯北中米大会後の退任が一時的に決まった際には、全国のサッカー協会に感謝行脚する予定をたてていたほど、周囲に尽くす。
一方で大義のためには、非情な決断もできる。W杯開幕直前に主将だったMF遠藤航を離脱を決めたのも、チームが勝つために最善だと感じたから。以前、失礼を承知で「そんないい人でよく現役時代にファウルとかできましたね」と尋ねたことがある。「自分が、というより仲間がやられたらやり返す、チームのためにファウルで止める、そういう感覚でした」と間髪入れずに返ってきた。
お酒は得意ではないが、必要性を感じて政治家と会食することもある。準備した動画を見せてサッカーの強化がどれほど国益に貢献するかを訴える。あまり先の予定は立てない。「いつ解任されるか分からないから」。どんな時も目の前の1戦に最善の準備をして全力を尽くしてきた。どこまでも日本サッカーの発展を望むスタンスが世界の高みへ導いた。口癖は「日本人の誇りを皆さんと共有したい」。日本を愛し、日本中から愛された名将の日本最終戦が幕を閉じた。【佐藤成】