【ハルムスタード(スウェーデン)16日=鎌田直秀】なでしこジャパンの「五輪スペシャル」がベールを脱ぐ。この日の紅白戦で2列目に4人をフラットに並べる五輪仕様の新システム「4-1-4-1」を試した。定番は「4-4-2」だが、1点を奪いにいく場面や、1点を守り切る場面で採用する新オプションで、ボランチのMF沢穂希を2列目に上げる。佐々木則夫監督(54)は18日の米国戦、20日のスウェーデン戦でも積極的にチャレンジすることを明言した。

 佐々木監督は確かな手応えを感じていた。「今日は非公開にするのを忘れちゃったなあ」と冗談をこぼすほど、細かい指導に集中した。紅白戦の15分すぎ、「4-1-4-1やろう」と切り出した。4-4-2のダブルボランチの一角のMF沢を前に上げ、2トップのFW川澄を後ろに下げて、2列目に4人をフラットに並べた。これが五輪仕様の新システムだった。

 佐々木監督

 1点リードを守りきるなら、中盤の4枚をフラットに並べて守り、相手にボールを回させる。裏のスペースを空けない徹底をすればいい。逆に攻撃なら、4枚とFW永里で積極的に5人でボールをチェックにいく。そこでボールがとれれば一気にカウンターを狙う。

 監督が説明したように、五輪で1点を守りたい場面や、1点を取りにいく場面で採用する勝負システムだった。キーマンは1ボランチになるMF阪口。守備の負担が倍増するが、監督は「沢や大野と入れ替わりながらやれば問題ない」。阪口も「まだミスはあるが、これが出来たら違った日本が見せられる。相手の中盤(の人数)が多い時にも有効ちゃいますか」と前向きだった。

 今回のW杯上位国との2連戦が格好の腕試しとなる。「4-1-4-1も、どんどんやってみる」と佐々木監督。今遠征前には「勝つと課題がぼやけることが多い。スウェーデンでも負けたっていいんだよ。どんどんチャレンジ」と話していた。結果を求めるだけでなく、負けて学ぶことの重要性も説いていた。

 女王として迎える五輪の苦しみ。「ここにきて集中して見ることが多くて、目も頭も疲れます」と佐々木監督。金メダル獲得へ、進化の過程を指揮官は楽しんでいる。