<アジア杯:日本4-0パレスチナ>◇1次リーグD組◇12日◇ニューカッスル

 日本代表のFW本田圭佑(28=ACミラン)が、祝砲を放った。アジア杯初戦のパレスチナ戦で、前半44分に左足で3点目となるPKを冷静に決めた。母校の石川・星稜高が初の日本一に立った日に快勝発進し「結果を残すことが恩返しになる」と、2連覇を約束した。

 二重の喜びが本田を冗舌にさせた。取材を終えてバスへと歩き出そうとした時だった。母校星稜高が日本一に立ったことを聞かれると、青春時代を思い返したかのように目を輝かせた。「それを最初に聞いてくださいよ」-。そう言って再び立ち止まると、昨年末に交通事故に遭った恩師河崎監督への思いがあふれ出てきた。

 「まだ連絡は取れていないですけれど、先生の(交通)事故のことも聞いていましたから。僕らは4強に行くのも難しかった時代。ここまで成長して、先生の事故もあって、悲願ですよね。不幸な出来事もありましたけど、明るいニュースを届けてくれた。星稜に関わる全員が長年、優勝したいと願っていましたから」

 母校の初Vを祝うゴールだった。2点リードの前半44分。香川が得たPKを、譲らなかった。GKが早く動いたのを見極めると、中央右寄りへ流し込むようにして決めた。いつも得点に飢えた男の、15年の初ゴール。それは、所属クラブの公式戦とA代表を合わせた、本田のトップチームでのプロ通算100得点目。遠く離れた日本にいる後輩たちへ、そして恩師へ、ささぐゴールでもあった。

 「大きいですよね。どういった形であれ、得点というものは自信を与えてくれる。コンディションのところはまだまだ上がっていく感じがする。全然、上がる。次に向けても得点を取るいい準備をしたい」

 11年大会はMVPの活躍で頂点へ導いた。チームとしては2連覇。個人的にも史上初となる2大会連続MVPがかかる。初出場の格下パレスチナに大勝したものの、本田自身も簡単なパスミスが多く、前線での連係面もまだまだ。それが分かっているからこそ、反省も忘れなかった。

 「(後半は)全員が前に行きたくなっている。そういうサッカーは悪くはないが、攻撃があまりにも単調になってしまう。星稜の卒業生として結果を出し続けたい。それが、恩返しにもなると思うんでね」

 W杯優勝を目指しながら屈辱にまみれた2014年。本田は新たな年の第1歩を、祝砲で飾った。【益子浩一】