長野の元日本代表MF橋本英郎(37)は試合後、「勝てて良かったです…」と苦笑した。

 この日は、久保を目当てにメディアだけで182人も集まっただけに「J3はまずないですし、J1でも決勝レベルのメディアの数。放送が流れた時に、長野が順当に勝ったなと思ってもらうのはすごい大事」と胸をなで下ろした。

 対戦した東京U-23の久保建英(15)の印象について聞かれると「まだ、体が出来上がっていない感じ。技術は、やっぱり、すごい高いものがあると思いますし2つ、3つ先を考えながらプレーしたと思いますけど、なかなか周りとのコンビネーションだったり…久保君のプレーを(東京U-23の)チームメートが分かっていたのかな、という感じがありました」と感想を語った。

 久保を抑える具体的な方法について聞かれると、「体を着けた状態でプレーすると、どうしても体格的な問題があると思う。そこで僕らが優位に立った形が多かったと思う」と体格面の課題を指摘した。

 C大阪時代に、後輩の南野拓実がオーストリア・ザルツブルクから帰ってきて大阪で練習した際、「やっぱり、体格の大きい選手とやっている分、(C大阪の)DFと対峙(たいじ)しても倒れなかったし強さを感じることがあった」という。久保もスペインの名門バルセロナのユースに所属していたが「今日、そういう部分(海外でもまれた強さ)は、まだなかった。彼が上のカテゴリでやっていれば、そういう(南野のような)強さは出たと思うけれど、海外でもユース年代は大きくないでしょうし。高校生くらいから大きくなって、日本人は勝てなくなるから、そこのラインで勝負し続けた方が、もっと伸びがあったり大きな壁があったと思う」と語った。

 一方で技術の高さ、年上の選手相手に指をさして堂々とボールを要求するなど、久保のピッチ上の振る舞いについては、あらためて評価した。

 「自信を持って(パスを)出してほしい選手に声を出したりとか、その選手からもらえない時は、違う選手に出してほしそうな声を出していた。久保君が、次のプレーを考えて受けようというのが表れていた」

 今後の久保について聞かれると「これだけ注目されているプレッシャーの中で、どれだけ自信を持って過信にならないか。周りの声の中、いい方向を取っていればいい状態になると思う」と答えた。

 橋本はG大阪時代に、宇佐美貴史(現アウクスブルク)や家長昭博(現大宮)といった、優秀な若き才能がプロの世界に羽ばたく姿を見守ってきた。「宇佐美だったり家長にしろ、出てきた時は遠藤(保仁)がいて、プレーエリア、特徴を生かして上げる状態を生み出していた。今日は周りがそこまでの余裕がなく、彼(久保)が引っ張らなきゃいけない状態だったかもしれない。サポートは大事…正直、中3ですから」と周囲のサポートの大事さを強調した。

 さらに、久保に才能の違いを感じたかと聞かれると「いや、僕は分からなかったですね。宇佐美とか家長が本当にすごかったから。彼らの場合は体格の部分も多少(優位さが)ありましたし、キックの精度とかもすごかった。今日の試合だけしか、僕も見ていないので分からない」と答えた。