北海道コンサドーレ札幌は開幕戦でサンフレッチェ広島に0-1で敗れ、3年連続で開幕戦黒星発進となった。今季就任のミハイロ・ペトロビッチ監督(60)は、06~11年に率いた古巣との初陣を勝利で飾れなかった。相手ペースだった前半に先制を許し、後半はキャンプから取り組んできた攻撃的サッカーを目指してシュート数で上回ったが、ゴールを決めきれなかった。次節3月2日アウェーC大阪戦に向けて、今日25日から熊本キャンプを再開する。

 「前半は慎重な入りになってしまったが、後半は多くのチャンスを作っていた」。新しい札幌を披露すべく臨んだペトロビッチ監督は、敗れた広島戦の中に反省点と手応えを見いだしていた。かつて率いた古巣。広島カラーの紫色に染まるスタジアムで、挑戦は幕開けした。勝利の歓喜に酔いしれることはできなかったが、肩を落とすことはなかった。

 前半はコンビネーションがはまらず、チャンスも少なかった。シュートを打てず、放っても枠をとらえられない。2倍以上のシュートを浴びる劣勢で、28分には左クロスから、ゴール前フリーの広島ティーラシンにヘディングで押し込まれて失点。1点が重くのしかかった。

 ハーフタイムで修正し、切り替えた。後半は選手の距離感がコンパクトになり、パスがつながる。MF三好の2分のヘディングシュートは外れたが、そこから攻めに転じた。攻撃をシュートで終える場面が増え、主将のMF宮沢は「やってきたことを出せたシーンもあった」と手応えを口にした。終わってみればシュート数は札幌14本、広島12本。「ミシャ流サッカー」の浸透を図ってきたが、まだ1カ月ちょっと。指揮官自身、すぐに、チームに定着するとは考えていない。「非常によくやってくれた」という褒め言葉は、本音だった。

 ペトロビッチ監督にとって、Jリーグでは12試合目の開幕戦。広島、浦和で挑んだ過去11戦は7勝2分け2敗と大きく勝ち越していたが、この日白星はつかめなかった。だが、プレーの質、サッカーの内容となれば、また別の話。指揮官は「決して負けに値する試合ではない」と前を向いた。この日の先発11人の平均年齢は、広島より5歳以上若い24歳。伸びしろは、ある。挑戦は始まったばかりだ。【保坂果那】