FW金崎夢生のサガン鳥栖移籍が発表された直後の試合。そこで、鹿島アントラーズの2人のFWが存在感を見せた。

 後半12分、DF犬飼智也からのパスを受けたFW鈴木優磨が、ハーフウエー付近からドリブルを開始。ゴールに迫ると“妙技”を見せた。目前でわざと大きくタッチ。セレッソ大阪のGKキム・ジンヒョンを誘い出した。

 「あれしかなかった。ちょっとボールタッチをデカくして、GKが出てくるのを待っていた。出てこなかったらファーサイドに思い切り打つしかなかったので。誘って、うまく出てきてくれたので決めることができた。練習通りです」。

 左足で浮かしてゴールへ。支配しながら得点が奪えない状況で、2試合連発となる待望の先制点を奪った。

 続く3分後には、負傷した昌子源に代わって出場したDF町田浩樹が左サイドで1人を交わして、絶妙な左クロス。これにFW土居聖真が右足で合わせて、3試合連続ゴール。土居は「入りすぎず、遅すぎず。いいタイミングだった」と自画自賛した。

 背番号10の金崎が抜けた。鈴木は「チームとして、ダメージがないと言ったらウソになりますけど、サッカーというのはこういうものだし、自分もプロは、こういうものだと教わってきた」。穴は、自分たちで埋める-。その気概があふれていた。

 鈴木は、金崎からこう言われたという。「やっとPK、蹴れるな」-。「言葉で語る人じゃない。あの人らしいかな。オレも、あの人みたいにチームを勝たせられるような選手になりたい。全部が全部マネはできないけど、いい部分を拾いつつ、自分のストロングポイントと照らし合わせてうまく反映できたら、もっと良い選手になれると思っている」。

 ちなみにこの日の試合前に、DF西大伍から「オレがPK取ったら、オレが蹴るからな」と言われたという。

 「新たなライバル…」と笑った鈴木。だが、その気迫あふれる姿が続く限り、誰もがPKを「任せる」と言うに違いない。