大分トリニータの片野坂知宏監督(47)は、東京ヴェルディ戦後の監督会見の際、声がガラガラにかれていた。冒頭から「聞こえますか? すみません、聞き取りにくかったら、すみません!! すみません、聞き取りにくくて…」と、報道陣に繰り返し謝罪する、異例の会見となった。

 質疑応答の中で、報道陣から声がかれた理由について聞かれると、片野坂監督は「声は…もう、前半の5分で何か叫んだら、こういう声になってしまって。自分でも、ちょっと何でか分からないんですけど、そこから出なくて」と説明。「スタッフに、のどあめをもらったりして、何とか声を出せるようにはしていたんですけど、結局、治らなくて、選手にも、なかなか指示も通らなくて…」と言い、また「すみません」と報道陣に謝罪した。

 試合については「上位対決で、東京Vさんとの対戦は前回のホーム(3月17日に0-0)もそうですけど、難しくなると覚悟して臨みました。前半は狙いを合わせ、主導権を取れたと思いますけど、決めきれず、慌てたところで落ち着いた東京Vさんにひっくり返された。お互い、主導権を奪い合い、拮抗(きっこう)したゲームになった」と振り返った。シュート数は前半は5対3で上回ったが、逆に後半は6対7と1本少なく、トータルで11対10と1本上回った。その数字も、試合の拮抗(きっこう)ぶりを示していた。

 連勝は3でストップし、この日、首位の松本山雅FCに1-0で勝ったFC町田ゼルビアに勝ち点2差でかわされ、2位から3位に転落した。町田は台風12号の影響で1試合消化が少ないだけに、引き分けは痛かった。それでも「勝ち点3を取りたかったが、アウェーで東京Vさんに勝ち点1は悪くない。ホームで勝ち点3を取って、一体感を持ってやっていきたい」と25日の次節徳島ヴォルティス戦を見据えた。

 質疑応答では、現役時代、サンフレッチェ広島や柏レイソルで、Jリーグでも有数の左サイドバックとして活躍したキャリアを踏まえた「もったいなかったのは、サイドからクロスが何本も入るのに、GKに直接いっちゃうのが多かった。片野坂さんはご専門なので、あの辺、何とかならないのか?」という質問も出た。片野坂監督は「おっしゃるとおりだと思います」と口にして苦笑いした。

 その上で「サイドからの決定機…シュートまでつながらないクロスの精度は、トレーニングから、しっかり選手に求めて…でも、上げるだけじゃなく、中の入りも動いて入る、狙いを合わせてやるように、トレーニングしているんですけど、今後も課題だと思いますし」と改善点だと認めた。

 そして「上げるクロスの質、入るタイミングを、どういうメンバーになっても合わせてやって、そこから得点できる形を作り上げていく。そうすることによって、中央も開いてくると思うので、バリエーションある攻撃を出来るよう、いいチャレンジをしたい」と口にした。その後、片野坂監督は「ハクション」とくしゃみをして、会見場を後にした。【村上幸将】