川崎フロンターレが、MF中村憲剛(37)の今季5点目を守りきり、ベガルタ仙台に競り勝ち、首位広島に食らいついた。

前節19日の広島との首位攻防戦に逆転勝ちし、だれもが「次に勝たなければ広島の勝利が無駄になる」と口にしていた大事な一戦。0-0で迎えた後半10分。相手GKのキックをDF登里享平(27)が競り勝ち前方へ。相手DFのクリアミスを、中村が逃さず拾うと右足でネットを揺らした。

今節はキックオフ前、中村が今季、ゴールパフォーマンスにしているお笑い芸人、バイク川崎バイクが、ブレーク中のひょっこりはんと始球式を務めていた。バイク川崎バイクは始球式でGKを務めたひょっこりはんの股を抜きゴールを決め、サポーターの前で本家「BKB、ヒィーア!」を披露していた。試合では、中村も負けじと本家の前でスタンドのサポーターと「BKB、ヒィーア!」のポーズと大合唱だった。

試合後、バイク川崎バイクが「憲剛選手は、僕よりもいいヒィーアをしてましたね。自分は、あんなにいいヒィーアをしたことがない。スタンドの盛り上がりも、一体感も、僕が体験したことがない。悔しかったですね、正直(笑い)」と脱帽しながらも、生の「BKB弾」を祝福した。

中村は「ここ(等々力)は私のテリトリーなので(笑い)」と恐縮しつつ「すごく喜んでくれて良かったと思います。まさか、来るときに点取るとは思わなかったから。こういうこともあるんだなと思います」。

決勝点は、MF家長昭博(31)、中村が連動したプレスを相手にかけていたからこそ生まれたゴールだった。「自分がGKにプレスをかけにいくという、いつもやっていることをやっただけ。それを今回、ノボリ(登里)が後ろからつなげてくれたので。ポジション的にはオフサイドだと分かっていましたけど、その前に(仙台DF)大岩選手が触ったの分かったので。ルール改正のルール講習会の話を聞いていたので、オフサイドではないと分かって、冷静に(GKが)届かないところに蹴りました」と振り返った。

シュート数は仙台の5本に対し14本。追加点は奪えなかったが相手のクリアミスを突き、1点を守りきった。中村は「長いシーズンでこういう試合もある。それを1-0で勝ちに持っていく強さは、去年の成功体験もありますし、自分たちが自信を持てるような勝ち方の1つになったと思います」と話した。