東京ヴェルディのミゲル・アンヘル・ロティーナ監督(61)は、横浜FCとの上位対決に競り勝ち「満足しています」と語った。

開始5分にDF井林章(28)が自陣から蹴ったロングフィードをクリアしようとした横浜FCのMF北爪健吾(26)の右足に当たったボールがオウンゴールとなって幸先よく先制すると、前半はシュート数7対3の数字が物語るように主導権を握った。一方、後半は逆に押し込まれ、シュート数で1対8と圧倒された。後半25分にFW泉沢仁(26)が2点目を決めるも、シュートはその1本のみ。同36分には横浜FCのFWイバにヘッドを決められ、あと1歩まで追い詰められた。

ロティーナ監督は「前後半で異なる時間があった試合だった。前半は我々がより支配してチャンスを作った。幸運にも…相手には不運なオウンゴールがあって先制し、決定的なチャンスを作った。後半は横浜FCが主導権を握り、少ししかチャンスを作れなかったが、そのうちの1つを仁(泉沢)が決めて2-0に出来た。その後、彼ら(横浜FC)が攻勢を強め、1点を取られた」と振り返った。その要因を聞かれると「ボールを持てなかったことが一番の原因。ただ、彼ら(横浜FC)は、とても良い選手を擁するいいチームだということを忘れてはいけない」と、横浜FCの質の高さも強調した。

質疑応答で「(17年より)勝ちきれるようになったのでは?」と聞かれると「そうかも知れないです。プレーしていない選手が出ても、勝ちきれるのが違いなのかも知れません」と答えた。

また「攻撃が良い裏返しでDFの読みも良いのでは?」と聞かれると「もちろん、サッカーでは攻守は関連していると思っている。ビルドアップし、どのようにスペースを使うという意図を持ってやる(攻撃は)満足しています。守備も、良いポジションを取ることを強く要求しています。いつでも支配できるとは思っていないですが、後半は支配されても規律を持ってエラーを犯さないようにプレーしたことに満足しています」と横浜FC戦を評価した。

この日の勝利で、3位の横浜FCに勝ち点55、得失点13で並ぶ暫定4位に浮上し、J1自動昇格圏の2位FC町田ゼルビアにも勝ち点4差に迫った。監督1年目の17年は5位でフィニッシュし、クラブを初のJ1昇格プレーオフに導いたが、アウェーで行われた準決勝でアビスパ福岡に0-1で屈した。悲願の11年ぶりのJ1復帰に向け、残り10試合となったリーグ戦で必要なことを聞かれると、ロティーナ監督は次のように答えた。

ロティーナ監督 必要なのは今日の試合、(3-2で勝った8月25日のジェフユナイテッド)千葉戦のように集中を保ち、最大の重要性、リスペクトを持って試合すること。どのゲームも価値は同じ3ポイント。勝ちにいくために、いいゲームをする必要がある。これは、いつも選手に言っているんですけど、個人が毎日、毎日、成長していくことが重要で、それでチームが成長する。だから毎日の練習の要求は、高くなっていく。基本的なことですが、選手もチームも、良いトレーニングをすれば、良いプレーが出来る。

ロティーナ監督の指導、チーム作り、采配は、17年の監督就任以来、一貫してブレがない。不動心で、悲願のJ1昇格をつかみ取る…言葉の端々から、そんな思いがにじんだ。【村上幸将】