27年目のJリーグは、世界のスーパースター3選手を擁する神戸が敗れる波乱の幕開けとなった。神戸に新加入したFWビジャ(37)とMFイニエスタ(34)の元スペイン代表勢に、元ドイツ代表FWポドルスキ(33)はいずれもW杯優勝経験者。実際に試合を支配しながら0-1でC大阪に惜敗した。昨季に続いて平日金曜日の夜開催となったが、大阪市のヤンマースタジアム長居には、C大阪の開幕戦では史上最多となる4万2221人のサポーターが詰めかけた。

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大きな注目を集めた神戸の“ビッグ3”は不発に終わった。迫力ある攻撃でチャンスは作った。左サイドからFWビジャがドリブルで仕掛け、右サイドからポドルスキが裏を狙う。その前線をMFイニエスタが縦横無尽に動いて操った。豪華トライアングルは魅力を放ったが、ゴールを奪えず。Jデビューのビジャは「引いてくる相手に早い時間に得点できていれば」と悔やんだ。

後半32分に課題のセットプレーからの失点で敗れた。リージョ監督は「今日は失点より、なぜ得点できなかったかを話すべき」と言った。ポドルスキは「内容は悪くないが、最後のチャンスに決めきれなかった」と決定力不足を挙げた。

イニエスタらスター3選手の年俸総額は約42億4000万円で、この日の先発11人の総額は計約45億6800万円。MF山口、DF西、初瀬といった日本代表経験者も大量獲得したが、同じ先発組の年俸総額で約5億9000万円のC大阪に敗れた。1月末からの米国遠征は悪天候の影響で2試合中止になるなど、個々の実力は上回っても組織では発展途上だった。

神戸が目指す「バルセロナ化」の推進者として、昨季途中からスペイン人のリージョ監督が就任。同じポゼッションサッカーを掲げるC大阪に対し、ボール支配率は62%と圧倒した。「やっていることをやり続けるだけ」というイニエスタは「クラブとして求めているスタイルを選手は監督に従い、最大限プレーしていかないと。負けた後味はよくないが、これからよくしていく」と逆襲を誓った。

「結果的にうまくいかなかったが始まったばかり。これを続けていけば、素晴らしい結果を求めることができる」とビジャ。黒星を背負っての出航だが、初タイトル、ACL出場というゴールを目指すことに変わりはない。(金額は推定)【実藤健一】