清水エスパルスは1-1で大分トリニータと引き分けた。FWドウグラス(31)がPKで先制点。後半早々の失点で勝利は逃したが、篠田善之監督(47)の初陣で手堅く勝ち点1を積み上げた。

清水が堅実な戦いを見せた。試合後、静岡から駆けつけた約500人のサポーターは拍手で健闘をたたえた。勝てなかったが、最低限の勝ち点1を獲得。初陣となった篠田新監督は「よく走った。ポジティブな内容だった」とうなずいた。

「篠田イズム」の一端が垣間見えた。この日は4-2-3-1の新布陣を採用。守備最優先で臨んだ。1トップに入ったドウグラスのプレスが合図となり、チーム全体が連動。自陣から試合を組み立てる相手の自由を奪った。PK獲得の場面も積極的なハイプレスから。今季リーグ初得点のブラジル人助っ人は「狙い通り」と手応えを示した。

前節12日の前監督退任発表後、6日で迎えた仕切り直しの一戦。実質3日間の準備期間で篠田監督が強調したのは意識改革だった。「(監督交代は)ピッチに立っている選手にも責任はある」。あえて厳しい言葉を投げかけ、奮起に期待した。この日の試合前にも熱い言葉で選手を送り出したという。「歩けなくなるまで走れ」。

後半の失点後は選手の配置を変え、布陣も4-1-4-1に変更。大卒のMF西沢健太(22)をJ1初出場させるサプライズも見せた。「システムを変えることは、何人かの選手に伝えていた」。的確な指示で状況も好転。情熱的だけでなく、流れを読む冷静な采配も光った。

90分間の走行距離とシュート数で相手を上回った。最下位に沈むチームの苦境は変わらないが、指揮官は「半歩前進したと思う」。次戦はホーム・ベガルタ仙台戦。歩みを止めずにはい上がっていく。【神谷亮磨】