優勝の行方を占う1位FC東京と2位鹿島アントラーズの直接対決は、鹿島が持ち前の勝負強さを遺憾なく発揮しホームで2-0で快勝し、4あった勝ち点差を1まで詰めた。

満月が照らす鹿嶋の夜空に、勝利の歌“オブラディ”が響いた。開始2分にCKからDFブエノがヘディングで先制し、東京の猛攻をしのいだ後半33分にMFセルジーニョがミドルで突き放した。まさに常勝軍団の勝負強さ。最大で9もあった首位との勝ち点差を、ついに1まで縮めた。今夏MF安部(バルセロナ)ら主力が抜けたが、それでも勝ち続ける理由は、試合中の修正力と一体感だ。

キャプテンマークを巻いたMF三竿は「今年は何か起きたときに、試合中でも練習中でも話し合う回数が多い」と話す。大事なこの試合でも、三竿は前に横に後ろに、身ぶり手ぶりで指示を送り続けた。後半の東京の猛攻にも「じれずに我慢強くやろうとみんなで声をかけ合えた」という。

一体感も格別だった。DF犬飼やDF小池は治療で試合が止まるたび指揮官や、負傷明けでベンチから出番を待つDF内田にアドバイスを求めに走った。内田は「厳しい時にみんなの顔を見て、ベンチの声を聞いて走れるぐらいの声を出す」と自身の役割も自覚。試合前、ベンチに近い第4審にあいさつに出向き、笛が鳴る前からコミュニケーションを取っているのだという。まさに、全員でつかんだ勝利だった。

試合後、三竿は「チームの一体感はすごく良いものがある。これをどんどん大きくして、最後は笑って終わりたい」と話した。16年以来のリーグ制覇へ、そしてシーズン当初に掲げた4冠へ、鹿島は確実に前進している。【杉山理紗】