J1ジュビロ磐田と清水エスパルスの天皇杯ベスト8をかけた静岡ダービーは、延長戦を終え1対1。PK戦を清水が4-3で制し、激闘に決着をつけた。後半19分、磐田MF松本昌也(24)が先制ゴール。清水は後半、MF西沢健太(23)ら3選手を投入し、必死の反撃。試合終了かと思われた後半ロスタイムに清水が執念のオウンゴールで試合を振りだしに戻した。

      ◇       ◇

磐田が本拠地ヤマハスタジアムで意地を見せた。フェルナンド・フベロ監督(45)は、14日のリーグ川崎F戦で戦列復帰したFW川又堅碁(29)を先発に抜てき。FWルキアン(27)との2トップでゴールを狙った。指揮官は「コンセプトを持って、オフェンス面を練習してきた」と臨んだ一戦。2人をターゲットにサイド攻撃を展開すると、その狙いが形になった。

0-0の後半19分。左クロスから生まれたゴール前の混戦に、MF松本が反応した。体勢を崩しながらも右足で捉えると、放たれたシュートは緩やかな軌道を描きながらネットを揺らした。直近のリーグ3試合で無得点だったチームに生まれた公式戦4試合ぶり、フベロ体制での初ゴールに会場は歓声に包まれた。

貴重な先制点に、DF陣も奮起した。ベテランのDF藤田義明(36)、U-22(22歳以下)日本代表のDF大南拓磨(21)の両センターバックを中心に粘り強く対応。公式戦5戦ぶり勝利へのカウントダウンも始まった。

だが、これがリーグ戦7戦勝ちなし(1分け6敗)で最下位に低迷するチームの現状なのか-。試合終了直前の同ロスタイム4分に落とし穴が待っていた。ゴール前で清水FWドウグラスにこぼれ球を拾われると、シュートブロックに入ったDF藤田の足に当たりオウンゴールで失点。最後の最後につかみかけていた勝利が手からこぼれ落ち、延長戦に持ち込まれた。【前田和哉】