悲願の初タイトルを目指すヴィッセル神戸が、蛍の一撃で2大会ぶり3度目のベスト4進出を果たした。

0-0の後半11分、MF山口蛍(29)がゴール左隅へ狙い澄ました決勝ゴールを奪った。足の打撲でMFアンドレス・イニエスタ(35)が欠場も、代役も兼ねて山口が攻守に奮闘した。12月21日の準決勝は神戸-清水、鹿島-J2長崎の顔合わせ。決勝は来年元日に新国立競技場で行う。

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神戸MF山口にはゴールへの道筋が見えていた。0-0の後半11分。FW小川-田中とつないだボールを中央で受け、左足で絶妙なコースに蹴りこんだ。「ふかさないように。そこしかなかったから」。左隅ギリギリに吸い込まれた。

足の打撲の影響でイニエスタが欠場。フィンク監督は「いつもより真ん中に」山口を配置した。攻撃では軸となり、守りも攻撃的にいった。「いつもと違うポジションがうまくはまった」と山口。指揮官は「素晴らしいパフォーマンスをしてくれた。得点もだが、デュエル(1対1などの競り合い)の成功率、走行距離、ほめたい」と絶賛した。

現在10位のリーグ戦は2連敗中、しかも6失点、3失点と守りが破綻していた。フィンク監督も「自信を失っていた」。その中で負ければ終わり。キャプテンマークを巻いた山口が先頭に立って鼓舞した。「違いはメンタル面。失点しそうな時間もあったが、しっかり耐えられた」という。

クラブの目標ACLへの道は天皇杯制覇しかない。山口は「いけるタイトルはここだけ。この試合が大きなポイントだったが、みんなで勝ち切れたのが大きい。あと2つ、見えてきた感じ」。清水との準決勝を突破すれば、初の決勝は元日の新国立競技場。無冠の神戸がはっきり目標を捉えた。【実藤健一】