横浜FCと名古屋グランパスの練習試合が厳戒態勢の中、無観客で行われた。新型コロナウイルスの影響で、首都圏では不要不急の外出自粛要請が出される中、横浜FCは「こういう時だからこそ明るい話題を届けたい」との意向から愛知遠征を敢行。53歳のFWカズは外れたが、ベンチ入り18選手は新幹線移動を変更し、27日にチームバスで片道3時間半をかけて豊田スタジアムにやってきた。

試合は動画配信サービス「DAZN(ダゾーン)」で生配信された。約50人の報道陣は入り口で検温チェック。試合後の取材は当初、選手と報道陣が約3メートルの距離を取り、対面方式で行う案が検討されていた。だが野球界では阪神3選手のウイルス感染が判明したことや、豊田スタジアムの取材エリアが屋内であることを考慮し、パソコンを使ったウェブ会見に決定。プレスルームに両クラブの広報担当がそれぞれパソコンを用意し、別室にいる監督と、報道陣から指名があった選手をウェブでつなぎ、メディアの質問に応じた。

0-1と敗れた横浜FCの下平監督は、ウェブ会見に「何か不思議ですね、やりづらい…」と苦笑しつつ、「テレビ放送が入り、前泊して公式戦のような雰囲気でゲームができた。名古屋に感謝したい」と話した。トップ下で先発した41歳MF中村は、無観客での練習試合にも「本番さながらの中で選手同士の声が使えるのは良かった。連係でのレベルが少し上がったと思う」。各クラブは5月のリーグ再開に向け、取材対応の仕方について検討に入っている。名古屋の担当者は「ウェブ形式も1つのモデルケースになる」と話した。【岩田千代巳】