鹿島アントラーズが浦和レッズに0-1で敗れて、クラブワーストの開幕4連敗を喫した。

12年シーズンの開幕3連敗を超える不名誉な記録に、イレブンはがっくりと肩を落とした。チャンスを作りながらも得点が奪えない。中断前のACLプレーオフ、ルヴァン杯を合わせると公式戦6連敗。ザーゴ監督を迎えた新体制の勝利は遠く、単独最下位から抜け出せない。

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公式戦6試合を終え、鹿島に希望の光が見えない。リーグ戦ではクラブワーストの開幕4連敗。この日も“ゴール”を決めることはできなかった。再開初戦の川崎F戦でオウンゴールによる得点こそ奪ったものの、所属選手による公式戦でのゴールは、昨年12月21日の天皇杯長崎戦を最後に7試合「0」が続く。前節まではポストやバーをたたくシュートもあったが、この日のシュートはゴールにかすりさえもしなかった。

課題だった「立ち上がりの失点」は克服したが、どんなに守ろうが得点がなければ試合は動かない。左サイドのMF和泉、DF永戸らが積極的に攻め上がって仕掛けたが、シュートまで至った場面は少なかった。ザーゴ監督は「フィニッシュに至る過程の練習はやっている。最後の3分の1の局面は、シュートかパスか、選手の決断力が問われるところ」と話したが、状況を変えるには、過程を見つめ直すことも必要かもしれない。

選手は「やっていることは間違っていない」と口をそろえる。指揮官も試合前に「データを見るとリーグで最も攻撃の数が多い。(戦術の)浸透度が高くなっている」と話していたが、常勝軍団の鹿島はそれで許されるチームではない。どんな内容でも勝ちきる強さが、鹿島の誇る「勝者のメンタリティー」だった。

昨季チーム内得点王だったMFセルジーニョが海外に移籍し、チームは新監督と11人の新加入選手を迎えた。在籍5年目と先発した選手の中で最古参となったMF永木は、試合前に「まずは結果。やりたいことや内容はその次。どんな形でもいいので勝ち点3を取りたい」と話していた。この姿勢こそが鹿島らしさだったはず。選手の入れ替わりが激しくなると同時に、どうしても伝統を継承する難しさが生じるが、ここを乗り切ってこそ真の「名門」といえるだろう。【杉山理紗】