日本サッカー協会(JFA)は3日、21年9月開幕の女子プロリーグ「WEリーグ」の発展や、女性の競技人口増加と次世代のリーダー育成の推進を狙い、女性指導者を対象とした「Associate-Pro(A-pro)ライセンス養成講習会」の開設を発表した。1年以上の指導経験があるA級コーチジェネラルライセンス保有者らを対象とし、定員は10人。申し込みを8月11日まで受け付け、20年9月から1回目の講習プログラムを開始する。

A-Proライセンスは、Jリーグクラブなどを指導できるS級コーチライセンスを持つ女性指導者が全体のわずか1・6%にとどまっていることに加え、そもそもS級コーチライセンス取得に必要な講習会を受講できる女性が少ないことなどから、S級に準ずるものとして一時的に開設されるもの。9月開始予定の講習プログラムは21年5月までの約9カ月間を想定しており、順調に同ライセンスを取得できれば、21年9月開幕のWEリーグ参入クラブを同講習会受講者が率いることも可能となる。

この日に行われたオンラインでの発表会見には小野剛技術委員会副委員長と今井純子女子委員長が出席。小野氏は同講習会の開催回数について少なくとも2度の実施を考えているとし「そこから先は改善点など、いろんなところが見えてくると思う。5年後、10年後にその人たちが判断して、やってくれればいいと思っています」と話した。

今回の講習会設立は、新型コロナウイルスの影響によるサッカー界の活動減少や、日本の23年女子W杯の招致断念などを受けて考案したプロジェクトの一環でもある。会見では女性競技人口の増加と、次世代をけん引するリーダーの育成が2つの柱として掲げられた。今井委員長は「女子サッカーを大きく発展させるためには、女子サッカーの中だけではパワーが足りない。女子サッカーの発展が日本サッカー界の発展に寄与しうるという確信を持ち、全ての人で共有することが重要」と話した。

今回の講習会を受講するには、1年以上の指導経験に加え、次のいずれかの事項を満たしている必要がある。

<1>有効なJFA-A級コーチジェネラルライセンス保有者

<2>有効なUEFA-A級、AFC-A級に相当するライセンス保有者

<3>19年度A級コーチジェネラル養成講習会受講者のうち、総合成績がSランクかつ国際Aマッチ20試合以上、なでしこリーグ公式戦200試合以上の出場経験を有する者

講習内容には千葉県に新設した高円宮記念JFA夢フィールドでの国内講習に加え、小野氏や今井氏、そして高倉麻子女子日本代表監督らも含めた指導者がメンターとして1対1で指導するプログラム、海外研修や他競技団体の講師を招いた講義なども予定されている。小野氏は「これまでの我々のいろんな施策を反省して、女性指導者の数を引き上げる必要がある。グローバルな人材育成を目指し、ライセンス所得後の後進の教育にも寄与してもらいたい」と期待を込めた。【松尾幸之介】