元日本代表の水沼貴史氏(60)が、同い年のマラドーナ氏死去を悼んだ。

アルゼンチンが世界一に輝いた1979年のワールドユース(現U-20W杯)での強烈な出会い。プレーそのものはもちろん、その肉体に「世界」を感じたという。

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ワールドユース開幕前、選手のパスポートチェックで初めてマラドーナを見たんです。日本の次がアルゼンチンで、ソファに座っていた。その太ももがすごすぎて。太さはもちろん、筋肉が盛り上がっていた。「これが世界に出て行く人の体なんだ」と思いました。

16歳で代表に入って、アルゼンチンが優勝した78年W杯のメンバーに最後まで残っていたのも知っていました。プレーがうまいのも分かっていましたが、体つきは近くでないと分からないですから。僕らも厳しい練習でかなり体は鍛えていたけれど、全然違う。本当に驚きました。

プレーですごいと思ったのは、判断力。ぎりぎりまで相手選手を引きつけておいて、絶妙なタイミングでパスを出す。自分が生きることだけでなく、周りを生かすことができた。18歳の選手がですよ。

60年の人生だけど、僕らとはスケールが違った。いいことも、悪いことも、サッカーだけでなく、いろいろなことをした人。すべてにスケールが大きかった。同い年ですからね。ショックですよ。まだまだ、いろいろなことをしてくれるのを見たいと思っていたんですけど。