全国高校サッカー選手権大会への初出場が決まっている奈良県立山辺高校の2年生部員10人が、寮内で飲酒していた問題を受け、吉岡敏之校長と、吉田育弘奈良県教育長が17日、県庁で会見を行った。全国高校選手権へは出場すると改めて発表した。

11日に開いた会見で全国高校選手権への出場は辞退しない意向を示し、飲酒した10人は1週間の道徳性向上の授業や面談などの特別指導を受け、反省がみられた場合は出場を認めるとしていた。

飲酒した10人のうち8人は特別指導を終了。18日から通常の生活に戻り全国高校選手権にも出場する。しかし、あとの2人は提出したワークシートの内容が不十分として、引き続き特別指導を受け、大会にも出場しない。

吉田教育長は出場に関して、「(当該部員は)『許されるならば出て行く』という回答をしている。そこは自分で乗り越える必要性はあるんじゃないか」と当該部員の気持ちを尊重した上での判断と主張。飲酒したにも関わらず出場した前例を作ることになってもいいのかという報道陣の質問に対しては、飲酒した部員よりも、見つけられなかった指導者側の責任とし「『酒を飲んだけど出られるんだよ』というケースとは違うと思う」と説明した。

吉岡校長は、出場に踏み切った理由として「彼らがせっかくつかんだ機会を奪ってはならない。向き合ってもらいたい思いがある」と答えた。今回の事実をどう受け止めるかという質問に対し「生徒は今回の特別指導にしっかりと向き合ってくれました。(引き続き特別指導の)2名に関しては残念ではありますが、全体としてはよく頑張ったんじゃないかなと感じています」と未成年飲酒の事実ではなく、自身が行った特別指導について回答。質疑応答がかみ合わない会見が約1時間続いた。

7月3日に吉岡校長から退任を要請された興津大三元監督の、部員に対するパワハラ問題も解決していない。吉田教育長は「教育委員会も入って、アカデミーで起こっていることが教員に相談できるような体制作りをしていきたい」と話した。