<ACL:シドニーFC0-0浦和>◇1次リーグH組◇20日◇シドニー
浦和が日本勢の中で、1次リーグ突破一番乗りを果たした。アウェーでシドニーFC(オーストラリア)と対戦し、0-0の引き分け。H組2位以内が確定した。決勝トーナメント進出は、前年度優勝で1次リーグを免除された08年以来8年ぶり、1次リーグ突破は優勝した07年以来9年ぶり。昨年優勝の広州恒大と同組の“死のグループ”を高度な連動を見せる攻守で乗り切った。5月3日の最終節ホーム浦項戦に勝ち、シドニーFCがアウェー広州恒大戦に敗れれば、逆転での首位通過となる。
試合終了の瞬間。浦和の選手たちは小さく手をたたき、試合結果を歓迎した。終盤は足が止まり、シドニーFCに主導権を譲った。それでもDF遠藤が「終盤は勝ち点1でも決勝トーナメントだと切り替えた」と言うように、選手たちは冷静だった。集中力を切らさず、無失点で乗り切った。
序盤は組織的なプレス、1タッチ中心の高速パス交換で相手を圧倒。しかし、思わぬ敵が浦和の足を引っ張った。前半6分。MF武藤が絶好のチャンスで、シュートを大きくふかした。直前でボールがイレギュラーバウンドしたためだ。
ラグビーのように不規則にボールが弾むピッチは、まさに「ラグビー用」だった。会場では2日前の18日、13人制ラグビーの公式戦が行われたばかりだった。1タッチパスで崩すスタイルの浦和にとって、ボールの転がりが読めないピッチは「天敵」。めくれ上がった芝は、重馬場のように足にからみつき、さらなる疲労蓄積を強いた。
そもそも16日仙台戦から中3日、赤道をまたぐ8000キロの強行軍。その出発の成田空港では、強風のため4時間近い足止めも食った。搭乗するころには、午後11時を過ぎていた。
しかし選手たちはロビーでストレッチをするなど、いらついた様子をみせなかった。MF阿部らは「別に今日飛べなかったとしても、全然平気ですよ」と眉ひとつ動かさなかった。
DF槙野は「自分たちのサッカーが通用しなかった昨年の敗退が、自分たちを大きく動かしている」と振り返る。昨季ACLは開幕3連敗。ホーム埼玉スタジアムのサポーターからも厳しい声が飛び、普段はもの静かな阿部が声を張り上げて理解を求める一幕まであった。リーグや天皇杯の優勝をあと1歩で逃したのと同じくらい、悔しさは皆の心に残っていた。
だからこそ、ペトロビッチ監督は今季始動から「今季の目標はACL1次リーグ突破」と言い続けてきた。今季は遠藤が加わり、守備の安定感は格段に高まった。けが人もほとんど出ず、Jリーグとの掛け持ちも余裕を持ってこなせた。今年の浦和は違う。結果をもって、そう印象づけた。
◆浦和のACL 初出場の07年大会で初優勝。1次リーグを首位通過し、準々決勝で全北、準決勝で城南と韓国勢2チームに勝利。決勝でセパハン(イラン)を2戦合計3-1で下し優勝を飾った。大会MVPにはFW永井雄一郎が選ばれた。前回王者として臨んだ08年は1次リーグを免除されたが、準決勝で最終的に優勝したG大阪に敗退。13年は1次リーグで2位の全北に勝ち点で並ぶも、直接対決の結果で3位となり決勝トーナメント進出ならず。15年はJ1で無敗記録をつくりながら、ACLでは1次リーグ最下位で敗退。