札幌がジュリーニョ弾で11年9月以来の首位

前半17分にヘディングで決勝ゴールを決め、おたけびをあげるMFジュリーニョ

<明治安田生命J2:金沢0-1札幌>◇第11節◇3日◇石川西部

 ジュリーニョ弾で首位浮上! J2札幌はアウェーで金沢を1-0で下し、3連勝を飾った。前半17分、MFジュリーニョ(29)が8試合ぶりの得点を挙げ、この1点を守り抜いた。11戦7勝2分け2敗の勝ち点23。前節まで首位の町田が引き分けたため、東日本大震災による変則日程で暫定1位に立った11年9月21日東京V戦以来の首位浮上となった。

 どんぴしゃだった。前半17分、金沢DF阿渡の背後からジュリーニョが回り込むようにマークを外しゴール前に飛び込んだ。MFマセードがダイレクトで蹴り込んだ矢のような右クロスはピンポイントで、ジュリーニョの前に入ってきた。ブラジル人同士、あうんの呼吸。「素晴らしいボールが来た。あとは合わせるだけ」。ニアサイドから放ったヘッドは、きれいにゴール左に突き刺さった。

 3月13日愛媛戦以来8戦ぶり2点目は、移籍後初の決勝弾。「マセードにはうるさいぐらい要求していたから、結果につながってうれしいよ」と喜んだ。次節7日熊本戦が中止で、その次の15日水戸戦は累積警告で出場停止。22日讃岐戦まで試合に出られないが「長期休暇」前の貴重な一撃で、首位浮上に尽力した。

 チーム15得点中、11点に絡む活躍だ。最近では4月23日C大阪戦で稲本決勝弾の起点、29日徳島戦は内村決勝点のアシスト、そしてこの日は、自ら決勝点と3連勝をお膳立てした。そんな獅子奮迅ぶりに当然、“ジュリーニョ株”は急騰している。ジュリーニョサイドには現在、複数の代理人から、来季獲得できないかという契約状況の問い合わせが届いている。

 だが、そうやすやすと攻撃の核を手放すわけがない。札幌の外国人選手は原則1年契約も、三上GMは「そのことはクラブとして対策をしている」と言う。ジュリーニョ、マセード、ヘイスの3選手は今季に加え、17年の契約もオプションとして付け、もしもの場合は移籍金がかかるよう設定。来季昇格後も主力として残すケースと、活躍して他クラブに引き抜かれても、相応の資金が残るケースを考え、動いてきた。

 クラブ期待の助っ人がフィットし連戦連勝。ジュリーニョにとっては、このゴールを真っ先に伝えたい人がいた。前日2日、ブラジル人選手担当のブルーノ・クアドロス・コーチが、父親の体調が思わしくなくブラジルへ緊急帰国した。来日の日程は決まっていない。日本生活やサッカーの指南役で、兄のように慕っているだけに「とてもお世話になっているし、彼のためにも勝ちたかった。きっと喜んでくれるはず」と前を向いた。仲間に幸運を呼ぶ7番。これからもゴール量産で、地球の裏側にいる恩師を、勇気づけていく。【永野高輔】

 ◆11年9月21日(対東京V、札幌ドーム) リーグ2位で臨んだ一戦。2-2の後半43分から、途中出場のMF岡本が2得点を挙げ、4-2で勝ち4連勝。札幌の勝ち点は49となり、1試合少ない東京の48を上回り、暫定ながら首位に浮上した。最終成績は21勝5分け12敗、勝ち点68。リーグ3位で、4季ぶりのJ1昇格を決めた。