<J1昇格プレーオフ:C大阪1-0岡山>◇決勝◇4日◇金鳥スタ
C大阪が涙で3年ぶりのJ1復帰を果たした。引き分け以上で昇格が決まる岡山戦は1-0で勝利。後半7分にJ2金沢から今季加入したMF清原翔平(29)が左足で押し込んだ。FW柿谷曜一朗、MF山口蛍(ともに26)らユース出身組と移籍加入組が結束。苦しみながらもJ1に戻ってきた。来季は監督就任が内定しているOBの尹晶煥(ユン・ジョンファン、43)体制でJ1の上位進出を目指す。
柿谷が、山口が泣いた。降りしきる雨と一緒に、大粒の涙が頬を伝う。残り1枠のJ1切符を争うPOを初制覇。14年以来のJ1復帰を果たした。8月に右足首を手術していた柿谷は万全ではなく、もう、走ることができない。それでも大熊監督は終了の笛が鳴るまでピッチに立たせた。「曜一朗と心中する」。浪花節で達成したJ1復帰。本拠地に詰めかけた超満員の観衆も涙した。
柿谷 性格上、プレーできないとイライラする。僕のわがままで、最後の試合に出るために(医療スタッフが処置を)やってくれた。感謝しかない。
今季開幕前、大阪市内の鉄板焼き店に呼ばれた。大熊監督に伝えられたのは主将任命と「お前と心中しても構わない」という強い覚悟。14年夏にスイス1部バーゼルに移籍。同年、C大阪はウルグアイ代表FWフォルランを擁しながらJ2陥落した。当時は柿谷、山口らユース出身組と、他クラブから加入した選手の間に溝があった。
だが今年、一時はクラブを離れた柿谷に加え、杉本も川崎Fから呼び戻し、6月には山口もわずか半年でドイツから復帰させた。ユース組の絆を深めることで全体を団結させる狙いがあった。中心が柿谷だった。
J昇格元年の95年に指揮を執り、今年5月に80歳で他界したブラジル人のパウロ・エミリオ元監督が強調したのは「チームは家族だ」という言葉。6月に柿谷が右足首の負傷で離脱すると、C大阪ひと筋14年目、32歳のDF酒本が2人の娘を連れて柿谷の自宅を何度も訪れた。独身の柿谷の愚痴を聞き、子供を交えてトランプをした。C大阪は仲間を思いやる家族になっていた。
山口は「数年前までJ1でも上位にいた。そこに戻したい」。大熊監督も「アジア、世界を見つめながらやっていく」。C大阪の旅路はまだ続く。【益子浩一】