復活へ「強い要求」/東京Vロティーナ監督に聞く

練習中、選手を観察する東京Vのミゲル・アンヘル・ロティーナ監督(撮影・村上幸将)

 J2の東京Vが12日午前、始動した。

 02-03年にセルタを欧州チャンピオンズリーグに導くなど、スペインリーグで20年指揮を執った、ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督(59)が午前練習後、報道陣の取材に応じた。その中で、日本サッカーへの印象について聞かれ「クラブW杯で、鹿島アントラーズはRマドリードを困難に陥れました。日本のサッカーが進歩している証拠だと思います。Rマドリードに勝つチャンスもあった。勝てそうになったということは、すごく難しいことだと思う」と高く評価した。以下、一問一答。

 -選手と初めて接した印象は

 監督 去年の試合を、だいぶ見ていますので、ほとんどの選手は知っていました。すごい面白いメンバーをそろえていると思います。僕たち(指導スタッフ)は選手たちに、練習中に強い要求をしていき、最終的に順位を上げていきたい。

 -日本サッカーへの印象は

 監督 まず、一番最初に印象に残ったのは情熱です。選手たちが情熱を持ってプレーしている。観客、ファンの方たちは情熱を持って応援している。その情熱が一番、印象に残りました。毎年、毎年、欧州の厳しいリーグでプレーする選手が増え、(欧州に)適応していっていると思います。日本代表も、よくやっていると思います。

 -指導日最初の練習から、3-4-3の戦術練習を行った。日本で、あなたはどういうサッカーをしたいのか、自分のサッカーを日本にどう落とし込み、東京Vを進化させたいのか

 監督 僕たちが目指しているフィロソフィー(考え方)を、東京Vに埋め込むこと。それは、ボールを持ってゲームを支配することです。でも、今はしっかりトレーニングする時期です。理想のサッカーはあるけれど…しっかりトレーニングをして、もっと先(の時期)にグラウンドで見てもらえれば、と思います。

 -ミーティングでは、選手にどんなことを話した

 監督 彼らに言ったのは「僕たちは強い要求をするよ」ということです。なぜかというと、いいプレー、質の高いサッカーができる、上の順位を狙えるメンバーがそろっているからです。だから、強い要求をするということを初めに言いました。

 -目についた選手は

 監督 何人か、すごい印象を受けた選手はいましたが、まだ個人名は出したくないです。

 静かな語り口ながら、その一言、一言には力がこもり、J2に沈む日本サッカーの名門・東京Vというクラブ、現有の選手をしっかりと理解した上で、上を目指そうという強い意志が感じられた。その一方で優勝、昇格などという大言壮語、目標とする順位なども一切、口にせず「最終的に順位を上げていきたい」と言うにとどめた。

 始動日午前の、今季最初の練習から、状況に応じたパスの強弱から、フォーメーション練習では攻守の仕方の基本まで伝えた。ロティーナ監督が口にする「フィロソフィー」が徹底された時、東京Vがどういうチームになっているか…。ロティーナ監督の最初の囲み取材は、短いながらも期待感が高まるものとなった。【村上幸将】