仙台渡辺監督トップ5へ 新システムでサイド活性化

選手を鼓舞する仙台渡辺監督(撮影・秋吉裕介)

 Jリーグの開幕が間近に迫りました。ベガルタ仙台は今季も「堅守賢攻」を掲げ、トップ5入りを目指します。渡辺晋監督(43)も直前インタビューにこたえてくれました。

 新システムの3-4-3が、強みのサイド攻撃をさらに活性化させる。サッカー分析会社「データスタジアム」によると、昨季の仙台は計39得点中、クロスで12点。昨季のJ1でクロスから12得点は年間2位の浦和レッズ(19点)年間王者の鹿島アントラーズ(16点)年間3位の川崎フロンターレ(14点)に次いでリーグ4位タイ。クロス攻撃だけなら堂々のトップ5入りだ。

 今季から採用する予定の3-4-3の強みはサイドアタック。それが機能すれば、従来の4-4-2に比べ、クロスを上げるシーンは増える。昨季の主力だったウイルソンとハモン・ロペスは移籍したものの、DFライン裏への抜けだしが得意のFW石原、身長190センチのFW平山が加入。いいクロスがゴール前に入れば得点力も上がりそうだ。

 昨季の仙台は、クロスからゴールを挙げた試合で7勝2分け1敗の好成績を収めた。シーズンを通して好不調の波はあったものの、その10試合に限ると、1試合平均0・90失点と守備が安定。サイド攻撃の質がさらに高まれば、おのずと失点も減るはず。堅守は賢い攻めからということか。

 昨季はクロスからのゴール数上位3傑が、そのままリーグの年間トップ3を占めた。サイド攻略はリーグ制覇への近道。得点源のクロスがさらに威力を発揮したとき、目標の5位以上が見えるに違いない。【石川秀和】

<渡辺監督一問一答>

 -キャンプの手応えは

 渡辺監督 公式戦をやってみないと、成果がどうだったかは言えないと思う。ただケガ人も少なく、新しいことに選手が真摯(しんし)に取り組んでいることに関して言えば、非常に順調だった。

 -10日のヴァンフォーレ甲府戦(45分×4本)では、4本目に選手に予告なしで3-5-2に変更した

 渡辺監督 対応力はついた。ぱっとシステムを変更して、順応性を発揮してくれている。そのあたりは成長していると思う。

 -「堅守賢攻」を進化させるための新布陣3-4-3。課題のカウンター対策は

 渡辺監督 昨季はオープン(選手同士の距離が間延びした状態)での失点が多かった。今のところ、カウンターでピンチを招いたこともあった。甲府戦(10日)も、FWウイルソンにクロスバーをたたかれた。あれが1本決まってしまえば、もしかしたら勝ち点を逃してしまうことになりかねない。映像を見て、選手に細かい指示も出した。

 -ここ3年でボール保持率が上がっている

 渡辺監督 ボール保持率が高ければ勝利に直結するというわけではない。でもなぜそれに取りかかるかと言えば、ボールを握ることでゲームの主導権を握りたいから。「堅守速攻」をとぎすませば、12年(リーグ2位)のように上位にいく可能性もあると思う。ただ一緒に戦っていて、自分たちが攻撃する時間を増やさないといけないと感じた。おそらく誠さん(手倉森誠・元監督)も、その思いから13年は攻撃的なことにチャレンジしたと思う。堅守速攻だけを磨いてチャンピオンになれた(プレミア1部の)レスターは、プレミアで何年後にチャンピオンになったか。俺は120年の奇跡を待つのか。なら自分たちが主導権を握ることで優位に進めて得点を奪いに行く。根底にボールを握れるというものがないと、粘り強さや我慢強さは手にできないと思う。

 -昨季は開始15分で9失点と立ち上がりが悪かった

 渡辺監督 ウオーミングアップから変えていかないといけない。

 -4月に強豪と4連戦

 渡辺監督 去年も同じようにリーグ戦で強豪クラブと連戦があった。そこで我々は真っ向勝負でぶつかって、結果的に連敗を喫した。今、自分たちは新しいチャレンジをやっている。どれくらい自分たちがやれるのかを試す絶好の機会。

 -昨季はホームでのリーグ戦で7勝10敗

 渡辺監督 負けない仙台を取り戻さないといけない。辛抱強く戦い、勝ち点1でも泥臭く取っていく作業も必要になる。1年を通して難しい時期も当然あると思っているので、サポーターの皆さんに鼓舞して欲しい。そういう時こそ俺たちは強くあるんだという姿を必ずお見せする。ぜひ選手たちの躍進を信じて熱いエールを送って欲しい。

 -目標はトップ5

 渡辺監督 つかみとりますよ、何としても。2年ぶりの目標なので、そこに食い込んでやろうという思いはある。(聞き手=秋吉裕介)