<日刊スポーツ:1994年3月13日付>
プレーバック日刊スポーツ! 過去の3月13日付紙面を振り返ります。1994年の1面(東京版)は、城彰二が94年のJリーグ第1号ゴールを奪ったことを報じています。
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<Jリーグ・サントリーシリーズ:市原5-1大阪>◇12日◇市原臨海競技場
2年目が開幕したJリーグにニューヒーローが誕生した。ジェフ市原のルーキーFW城彰二(18=鹿児島実)が、94年の第1号ゴールを奪った。前半24分、左サイド江尻篤彦(26)からのセンタリングを頭で決める鮮烈デビュー。高校卒ルーキーとして初の開幕スタメンをゴールで飾り、チームは苦手ガンバ大阪に5-1と大勝した。
左サイドからセンタリングを上げようとする江尻のはるか手前で、FWオルデネビッツ(28)がニアポストへ走る。城には大阪DF二人がつられていくのがハッキリと見えた。ガラ空きとなったファーポストでボールを待つ。「さあ、来い」。江尻の左足からカーブのかかったボールがオルデネビッツを越えてくると、力強く芝を踏みつけた。背筋を伸ばすようにして力をためてから、その反動で頭をボールへぶつけた。球速のある弾丸シュートは、大阪GK本並の左手を突き抜けて、ゴール中央のネットを揺すった。
18歳のニューヒーローが両手を突き上げる。それでも収まらずに、勢いをつけての前方宙返り。「まぐれです。ついてました。いい球を出してくれる先輩たちのおかげです」。100人近い報道陣に囲まれた高卒ルーキーは、照れ臭そうに笑った。
スタンドには鹿児島の実家から呼んだ両親がいた。今月1日の卒業式に備えて実家へ帰った際、父英憲さんに誕生日(51回目)のプレゼントを聞いた。祖父義信さん(80)とともに開幕日の12日に誕生日を迎える英憲さんは「試合に出ることが何よりのプレゼントだよ」。その期待に90分間フル出場し得点、それも94年シーズンの第1号ゴールを贈ってみせた。「試合に出られるだけでも最高のプレゼントなのに、ゴールまで決めてくれるとは。本当によくやってくれましたよ」。涙ぐむ母典子さん(45)とともに感激した様子で話した。
“ルーキー”の清雲栄純監督(43)も「運の強い選手。思った以上の活躍をしてくれた」。将来は日本代表の看板に育てようという清雲監督の期待にもこたえてみせた。
強運の秘密は、常に「感謝の気持ち」を忘れないところにある。2月25日にもらった初任給で、鹿児島実の松沢総監督らお世話になった人々に、感謝の気持ちを込めて金一封を贈った。「自分は長男で良い思いをさせてもらったから」と、弟の善久君(13)和憲君(10)には、CDプレーヤーとスパイクをプレゼントした。
今月21日から来月7日まで高校選抜の欧州遠征でチームを離れなければならないが、「惜しい」「もったいない」の声が噴出している。清雲監督も日本協会に掛け合ったが答えはノー。城は「これからも自分のプレーをするだけです」。今年正月の高校選手権準々決勝(1月6日)でゴールして以来65日目。市原待望の和製ゴールゲッターが、2年目を迎えたJリーグの主役に躍り出た。
<城彰二(じょう・しょうじ)アラカルト>
◆生まれ1975年(昭50)6月17日、北海道室蘭市生まれ。中学2年の時に父英憲さんの実家のある鹿児島県に引っ越す。
◆サッカー室蘭市立中島小4年の時に始める。きっかけは「学校の先生に勧められて」。
◆高校サッカー界のスター
1年時からレギュラーとして活躍。昨季は全国総体準優勝、全日本ユース準優勝、全国選手権ベスト4の主力として活躍した。日本ジュニアユース代表、日本ユース代表にも選出された。
◆初任給2月25日に初任給をもらう。支度金(500万円=推定)を含め全額を両親に預け、その中から必要な分だけ送金してもらっている。
◆好きな食べ物プリンが大好物。ちなみに、趣味は音楽鑑賞。
◆市原への入団両親や松沢総監督に勧められたのではなく、すべて自分で決めた。「一度練習を見に行った時に、すごく雰囲気が良かった。やるときは、しっかりやる。それ以外は楽しい雰囲気だった」。
※記録と表記は当時のもの