磐田&清水OB山西尊裕氏が語る静岡ダービー/連載

常葉大浜松の練習を見守る山西コーチ(3月20日撮影)

<4年ぶり復活!静岡ダービー 勝つしかない(2)>

 4年ぶりに復活する静岡ダービー(ジュビロ磐田-清水エスパルス=4月1日、エコパ)に向けた連載「勝つしかない」の第2回は、OBインタビューです。かつて両チームに所属した常葉大浜松サッカー部の山西尊裕コーチ(40)が、伝統の一戦で何を感じ、戦っていたかを明かします。

 山西氏は1995~04年に磐田、清水には05~08年在籍し、06、07年には第7代主将も務めた。静岡ダービーには、両チームで出場。選手たちはどんな意識で臨んでいたのだろうか。

 「『特別なもの』。その一言です。マスコミの取り上げ方も違うし、そういう空気が県全体にできていたのを感じていました。ダービーだけは、勝ち点『6』じゃないですけど、勝てば勢いが出る。負ければ『0』ではなくマイナスという感じでしたね」

 両チームで出場して、感じたことがある。

 「ジュビロからエスパルスに行った時、サポーターが練習場に横断幕やのぼりを掲げていて、『狙うは磐田の首一つ』という文言があって驚きました。ジュビロにも当然、そういうものはありましたが、当時は成績を残していたこともあって、どちらかといえば『受けている』感じでした。清水に移籍してからは、自分が引っ張る立場になって、余計にそういうものが見えた部分もありました。衝撃はすごかったですね」

 最も印象に残っている試合は。

 「99年のチャンピオンシップです。あの場で県内の2チームが戦うことは理想ですから。サポーターは、今もそれを求めてる。だからこそ、J2にいたり、J1でも下位に甘んじることも許されない。そこが根底にあると思いますね」

 静岡サッカーを語る上で欠かせない「ダービー」の復活。OBとして心境は。

 「すごく楽しみです。4年ぶりに加えて、ジュビロには俊輔選手が入った。(キャプテン翼の)翼くんが来たような感じです。清水も若い力が芽生えている。話題性やお互いの色もあって、どんな結果になるかも楽しみですね」

 どんな試合を期待するか。

 「ジュビロとエスパルスは静岡サッカーの先頭にいます。結果もありますけど、『両方J1にいて、いいね』と言われるような熱い試合を見せてほしいです」

 磐田でキャリアを積み、生まれ育った清水で選手生活を終えた山西氏。この一戦が、後に語り継がれることを望んでいる。【取材・前田和哉】

 ◆山西尊裕(やまにし・たかひろ)1976年(昭51)4月2日、清水市(現静岡市清水区)出身。清水東高をへて、95年に磐田入団。静岡ダービー(リーグ戦)には磐田で6試合、清水で4試合に出場(リーグのみ)。09年に清水で引退。同年から磐田ユース、11年は同ジュニアユースでコーチ、12年はジュビロSS浜松監督。13年から常葉大浜松のコーチ。