2万号はJ1復帰弾も決めた清水金子「持ってるな」

川崎F対清水 2-2のドローに終わるも、J1通算2万ゴールを決めた清水MF金子翔太(中央)は、サポーターの「20000ゴール」のボードを背に記念ボールと共にVサイン

<明治安田生命J1:川崎F2-2清水>◇第8節◇21日◇等々力

 清水エスパルスMF金子翔太(21)が、Jリーグの歴史に残るJ1通算2万ゴールを決めた。川崎フロンターレ戦の前半14分、右サイドからのクロスに走り込み、左足で押し込んだ。試合は2-2で引き分けた。

 午後7時16分47秒、Jリーグに新たな歴史が刻まれた。前半14分、FW鄭大世の低い弾道の右クロスを、ファーサイドに走り込んだ金子が左足で押し込んだ。GKの手が触ったが「なんとか入ってくれと思って、気持ちで押し込みました」。シュートの威力が勝った。

 3月30日に結婚して以降、初めてのゴール。左手の薬指にキスをして掲げるパフォーマンスも、思わず飛び出した。記念すべき2万ゴールと知らされたのは、試合後。163センチの身長と、あどけない笑顔から“金子少年”と呼ばれることもあるだけに、チームメートからは「お前かよ」と突っ込まれた。昨季、清水のJ1復帰弾も決めている本人は「持ってるなと思いました。でもチームで狙っていたカウンターの形だったので、全員のゴールです」と感謝していた。

 “福島”を背負って戦っている。JFAアカデミー福島の出身で、6年前の東日本大震災当日は、中学校の卒業式だった。「寮の外に出たら目の前は地割れで、原発からは煙が上がっていた。部屋はめちゃくちゃだった」。今年1月には日本プロサッカー選手会、日本サッカー協会などと、Jリーガーとして初めて東京電力福島第1原発(大熊町)を視察するなど、第2の故郷への思いは強い。「このメモリアルゴールを福島に届けたい」と話した。

 試合後は、テレビカメラに囲まれながら試合球に自らのサインを入れた。「現役生活を長くして、3万点も決めたい」。J1では、まだ2点目。金子のストーリーは始まったばかりだ。【保坂恭子】

 ◆金子翔太(かねこ・しょうた)1995年(平7)5月2日、栃木県生まれ。今市第3カルナヴァル-JFAアカデミー福島を経て、14年に清水入り。15年8月にJ2栃木へ期限付き移籍し、16年に復帰。163センチ、58キロ。利き足は右。血液型O。