<明治安田生命J1:川崎F2-2清水>◇第8節◇21日◇等々力
清水エスパルスのFW金子翔太(21)が、Jリーグ史に名を残す通算2万ゴールを決めた。アウェー川崎フロンターレ戦の前半14分、FW鄭大世(33)のクロスから左足を合わせた。しかし、チームは後半に2失点。敗色濃厚だったが、同ロスタイムのラストプレーで途中出場の新加入FWチアゴ・アウベス(24)が左足で鮮やかな同点弾を決め、2-2の引き分けに持ち込んだ。
完全アウェーの中、オレンジ色に染まった席から歓声が湧き上がった。
前半14分、見事なカウンター攻撃が実った。自陣でボールを奪ったDF鎌田翔雅(27)がそのままドリブルで駆け上がり、右サイドのFW鄭大世(33)にパス。鄭の低い弾道のクロスを、ファーサイドに走り込んだ金子が左足で押し込んだ。相手GKが触ったが、ボールの威力が勝った。J1通算2万ゴールが決まった瞬間だ。
3月30日に一般女性(25)と結婚した金子は、笑顔で左手の薬指にキスをして掲げるパフォーマンスを披露した。2万ゴールについては「メモリアルなので興味はある」と淡々と話していたが、大事な場面でJリーグ史に残る1発を決めた。
チームとしては課題をしっかり修正した。前節大宮戦(16日・1-1)では相手に積極的にプレスをかけすぎ、全体のバランスを崩した。今週の練習中に選手同士で話し合い「少し(プレスの)位置を下げて、ブロックを固めたい」。前線からの献身的な守備が持ち味の金子もしっかり我慢し、チームに貢献した。
金子は昨年11月20日、J2最終節の徳島戦でチームのJ1復帰を決める「昇格弾」も飾っている。文字通り、「持っている男」になったが、その後に清水は2失点した。
だが、後半33分から金子に代わって入ったチアゴが、大仕事をやってのけた。右サイドでボールを受けると、鋭く中に切り込んで左足でシュート。鮮やかにゴール右下に同点弾を決めた。移籍後、リーグ出場2試合目で初得点。ベンチから選手たちが飛び出して喜ぶ最中に試合が終了した。
チアゴ 最後まであきらめなかった。これからもっと点を取りたい。
小林監督のJ1とJ2通算200勝は持ち越しとなったが、前節大宮戦に続き追いついての引き分け。今後につながる勝ち点1をアウェーで獲得し、金子もチームメートと笑顔で2万弾の記念写真に納まった。【保坂恭子】