十勝FC藤川常務取締役が語る未来像「5年でJ3」

リーフラス常務取締役の藤川さんは、十勝FCの未来について熱く語る

 夢は十勝からJリーグへ! 子ども向けスポーツスクールを全国に展開するリーフラス(本社・東京)が5月、社会人サッカーの北海道リーグ1部・十勝FCの経営権を握り、未来のJ参入を宣言した。FW三浦知良(50)らと黄金期のヴェルディ川崎を築いた元Jリーガーで同社の藤川孝幸常務取締役(54)に、J昇格の見通し、チームの未来像を聞いた。

 十勝FCの運営権を取得して約1カ月、藤川常務は東京と帯広を往復し、地元の若手経営者や行政担当者らとミーティングを重ねている。

 藤川氏 当初8年でJ3(昇格)と考えていたが、今のスピード感なら5年でいけそう。約30社からご支援の声がかかり、農園など回り切れていないところも含めるとかなり大きな数。もうすぐ来季のユニホームサプライヤーが発表できるし、来年は新チーム名で行くことも決まっている。

 5月には元日本代表FW城彰二氏(41=室蘭出身)のスーパーバイザー就任が発表された。藤川氏の読売クラブでの同僚で、同じく元日本代表のラモス瑠偉氏(60=FC今治アドバイザー)らにも協力を要請中だ。将来の監督候補には、読売ユースからの友人で、リーフラス社の統括スポーツアドバイザー都並敏史氏(55)の名前も挙がる。

 藤川氏 15歳からヴェルディで育ち、サッカー人脈は広い。年末にはJFLに上げられる新監督を発表、新しい選手も10人程度獲得し年明けには披露する。来年は道リーグ優勝と天皇杯本戦出場を目標にし、2、3年で地域リーグを勝ち上がってJFLに上がりたい。資金は用意できている。

 道リーグを優勝、地域リーグを勝ち上がればJFLに参入。そこからJ3に上がるには、勝利のほかにJリーグ基準をクリアするスタジアム整備など、ハード面の問題もある。

 藤川氏 イメージはJ1最低基準の1万5000人のサッカー専用スタジアム。柏のようにピッチとスタンドが近い、一体感の感じられる会場が理想。まだ構想だが、地域全体を盛り上げて行政を動かしたい。

 来年1月には帯広に株式会社を設立。2月には新チームが始動する。選手は当面地元企業で働きながらの練習参加となるが、現在週2日のトレーニングを5日に増やす。練習後に収穫の手伝いをするなど、十勝に根ざすクラブが理想型だ。

 藤川氏 十勝は農作物がおいしいし空気もいい。スポーツフィールドが生まれれば怖いものはない。地元に愛されるクラブを作りたい。将来はバルセロナ(スペイン)のように、どんな競技でも運営するヨーロッパ型の総合クラブに発展させる。【取材・構成=中島洋尚】

 ◆藤川孝幸(ふじかわ・たかゆき)1962年(昭37)10月10日、横浜市生まれ。横浜商工高1年で読売ユース入団、卒業後に読売クラブ。92年ベストGK賞受賞。V川崎ではJリーグ、天皇杯など制覇。95年の現役引退後はV川崎、神戸、仙台、福岡などでGKコーチ、C大阪でコーチ、東海リーグ静岡FC監督などを務め、09年にS級ライセンス取得。バルセロナ(スペイン)やバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)でのコーチ留学経験もある。

 ◆リーフラス 子ども向けスポーツスクールの運営および運営受託を中心に、全国で事業を展開。会員数約4万5000人は同事業で国内最大規模。サッカーのほか、野球、バスケットボール、テニス、空手、陸上、剣道、バレーボールなども手がける。道内ではフットサルのエスポラーダ北海道とも提携。01年創業。従業員約650人。資本金1億円。16年4月期の売上高は約47億8000万円。伊藤清隆社長。