浦和、個の力で連敗止めた 関根が6人抜き劇的V弾

浦和対広島 後半、ゴールを決め、浦和DF槙野(右)と抱き合い喜ぶMF関根(撮影・狩俣裕三)

<明治安田生命J1:浦和4-3広島>◇第17節◇1日◇埼玉

 浦和レッズが連敗を3で止め、8年ぶりの4連敗を免れた。3-3の後半ロスタイムにMF関根貴大(22)が鮮やかなドリブルで6人をかわし、決勝ゴールを決めた。前半で2点先取しながら3失点で逆転されるなど、9試合連続失点の守備に課題は残した。最近5年間では最低の8位での折り返し。後半戦で巻き返しとなるか。

 関根は迷わなかった。3-3の後半ロスタイム。中盤の左サイドで、得意のドリブルでマークを外すと、さらに2人の間を抜けた。「スピードに乗れた」と右斜めに前進しながら、さらに3人をかわす。ドリブル開始から約50メートル進んでペナルティーエリアに進入。「(DFの)スライディングもブロックも見えていた」。167センチの小柄な体を目いっぱいひねって右足で放ったシュートでゴール左隅を射抜いた。

 一時は逆転を許す苦しい時間帯もあった中、終盤でもドリブルのキレは落ちず驚異の6人抜き。小学6年の時にGKで出場した埼玉・鶴ケ島市の大会で、相手全員を抜いてゴールを決めたこともあるドリブラーは「今日は(自分で)いくという思いでやっていた」。初の後半ロスタイムでの得点を笑顔で振り返った。

 試合前の時点でJリーグ通算12点。内訳は前半8得点、後半4得点。スタミナの持続が課題だった。今季は体力強化に力を注いできた。試合翌日はジョギング中心となる主力組の中で「自分にはこれくらいがいい」と走って息を上げた。走り込みでは、1分間の心拍数が200を超える状態が20分以上続くまで追い込んだ。ピッチの横幅を使ったインターバル走では今やチームのトップ3。得点時のシュートは「疲れていて、正直もう足を振れないんじゃないかと思った」と振り返ったが、いじめ抜いた肉体は、ここ一番で応えてくれた。

 浦和はここ7戦で5敗していた。折り返しとなる一戦で、負ければ09年以来のリーグ4連敗となる厳しい状況だった。殊勲の若武者は「みんなが疲れている中で、個の力で打開できた。自信になる」。試合後のヒーローインタビューを待つ間、両膝に手を置くほど出し切った。努力は裏切らなかった。【岡崎悠利】

 ◆関根貴大(せきね・たかひろ)1995年(平7)4月19日、埼玉県生まれ。中学から浦和の下部組織でプレー、10年のU-16日本代表から各年代の代表経験。ユース時代の13年10月の天皇杯3回戦山形戦でトップデビュー。14年に昇格。同年3月23日の第4節清水戦で後半開始から出場してリーグ戦デビュー。リーグ戦は14年21試合2得点、15年32試合6得点、16年32試合2得点、今季は全16試合出場、3得点。167センチ、61キロ。血液型O。