札幌都倉、浦和5年ぶり撃破弾 J1残留に弾み

前半32分、浦和DF槙野(左)と競り合いながらヘディングシュートを決める札幌FW都倉(撮影・黒川智章)

<明治安田生命J1:札幌2-0浦和>◇第19節◇29日◇札幌ド

 北海道コンサドーレ札幌が浦和に5年ぶりの勝利を収めた。観客3万3353人で埋まった札幌ドームで、昨季年間2位の浦和レッズを2-0で下した。FW都倉賢(31)が4月30日磐田戦以来、約3カ月ぶりにゴールを決め、新戦力のMFチャナティップ(23)がリーグ戦に初出場、FWジェイ(35)は公式戦初陣で2点目を決める活躍。カードが飛び交う大荒れの試合を制した。3戦連続の勝ち点奪取で14位に浮上。リーグ後半戦白星発進で、J1残留へ弾みをつけた。

 今季最多3万3353人の札幌ドームが、強敵相手の“デスマッチ”に熱狂した。主演は、待ちに待った背番号9だ。押され気味だった前半32分、DF福森の左コーナーキック(CK)に頭を合わせ、4月30日磐田戦(ヤマハ)以来のゴールとなる先制弾。「めちゃくちゃ、うれしい。福森のボールはいつも安定している」。久々に福森とのホットラインがつながり、渇望していたFWとしての喜びに90日ぶりに浸った。

 累積警告で前節を欠場したため、約1カ月ぶりのリーグ戦出場だった。中断期間もあって、他の選手よりも長くなった“夏休み”。「1カ月くらいかけて、対浦和を想定して練習してきた。守備はパーフェクトにできて、相手がイライラしているのを感じた」。準備万全で、この日を迎えた。

 先制点は、ゴール前で浦和DF槙野の動きを封じて決めた。「ブロックもうまくいって、スペースは狭かったけどアタックできた」。その5分後には、中盤で激しくぶつかり転倒。札幌の選手が槙野に詰め寄るなど、スタジアムは一触即発の雰囲気に。結局、都倉に反スポーツ的行為としてイエローカード、都倉の顔に足が当たった槙野はレッドカードで退場となったが「彼の人間性は知っている。お互いに熱くなっただけで、次に会った時は笑顔であいさつできると思う」。ヒートアップした試合は、さらに荒れる。

 後半開始時に交代枠を使い切った浦和は、直後の4分に負傷者が出て、まさかの2人減。数的優位に立った札幌は同18分、先発出場で再三、好機をつくっていたMFチャナティップに代わって、FWジェイを投入した。そのジェイが追加点を奪って、今季3度目の無失点試合で強敵を撃退。「疲れたり、足が止まりそうな時に見上げて、最後の力を振り絞ることができた」と都倉が語ったように、詰めかけたサポーターが強豪食いを支えた。

 エース復活に、新戦力の活躍。3戦連続の勝ち点奪取で、J1残留争いに光明が差してきた。「素晴らしい雰囲気を作ってくれたサポーターに恩返しができて良かった。後半戦、良いスタートを切れた」と四方田監督の声も弾んだ。反攻の夏が、始まる。【中島宙恵】

 ◆札幌がJ1通算40勝 29日の浦和戦で通算40勝18分け123敗(209得点374失点)となった。Jリーグ時代98年の12勝22敗を皮切りに、01年10勝5分け15敗、02年5勝1分け24敗、08年4勝6分け24敗、12年4勝2分け28敗、今季5勝4分け10敗。ちなみにJ2では、通算257勝150分け190敗。