仙台富田、幸運呼ぶ男が今季初3連勝を呼び込む

軽快な動きでボールを追う仙台MF富田(中央)(撮影・下田雄一)

 運気上昇中? ベガルタ仙台MF富田晋伍(31)が、次節アウェー北海道コンサドーレ札幌で今季初の3連勝をチームに呼び込む。前節アウェー・アルビレックス新潟戦の後半、全身けいれんでプレー続行が不可能となり途中交代。次節の出場が危ぶまれていたが22日、仙台市泉サッカー場でチーム練習に参加し復調をアピールした。前節、思わぬアクシデントでMF三田啓貴(26)の決勝ゴールを「アシスト」した幸運を呼び込む男が、完全復活で勝利を引き寄せる。

 冷夏の仙台から乗り込んだ、敵地新潟での死闘には、タフな主将も相当まいったという。

 富田 暑さ対策はしていたけど後半の早い時間から内転筋、ふくらはぎ、体のあらゆるところがけいれんしていた。あんな状態は初めてだったけど勝てて結果オーライでしたね。勝てば気持ちも楽になるし疲れもなくなる。

 前半のシュート本数は新潟の9本に対し0本と、立ち上がりから波状攻撃にさらされた。チームのスプリント回数(時速24キロ以上)がリーグ最多の165回という数字は、試合の過酷さを物語っている。献身的にカバーに入って再三ピンチを救った主将の体が悲鳴を上げるのも、無理はなかった。

 指揮官は三田を交代する予定でいたのだが、このアクシデントで富田がベンチに下がることに。しかし、その三田が5分後に決勝ゴールを決めてしまう。シュートが相手DF富沢清太郎(35)の足に当たり、角度が変わった幸運もあった。富沢と富田は仙台に同期入団の仲である。因縁めいたアクシデントがチームの勝利を呼び込む結果となった。上位浮上のためにも広島、新潟、札幌の下位3チームから取りこぼしなく足場を固めたいところ。「監督も自分たちも、もっと上を見ている。そのためには下のチームにはきちんと勝って勝ち点を積み上げていきたい」と3連勝に意欲を示した。

 やませ(オホーツク海から吹く冷たく湿った北東の風)の影響による低温と霧雨などで日照不足に陥っている仙台。22日現在、観測史上2番目に長い32日間連続降雨を記録するなど、日常生活にも影響が出ている。「子供が大好きなプールに入れてあげることもできなかった」。家族サービスに精力的な富田も、異常気象に悩まされ続けてきた。初の3連勝で、やませで湿った仙台の空気を、からっと吹き飛ばしたい。【下田雄一】