浦和柏木、負傷抱えながら苦手右足で決勝王手弾

ACLの準決勝以降

 【上海(中国)=岡崎悠利】浦和レッズがアウェーゴールを奪って上海上港と1-1で引き分け、優勝した07年以来の決勝進出へ前進した。左脚付け根の負傷を抱えながら先発で強行出場したMF柏木陽介(29)が、前半27分に同点弾を決めた。今季は国内タイトル獲得が厳しい状況で、10年ぶりのアジア王者はぜひとも欲しいタイトル。第2戦は10月18日に埼玉スタジアムで行われる。

 相手エースのフッキに強烈なミドルシュートで先制されたが、浦和は鮮やかな連係から一撃を見舞った。前半27分、FW興梠がDFラインの裏を抜けてロングパスを受け、体勢を崩しながら浮き球でリターン。そこに走り込んだ柏木が「苦手な右足」で合わせてゴール左隅へ決めた。「振り切るというより当てて枠に飛ばすことを意識した。それがいい方向にいった」と納得の表情だった。

 左脚の付け根は万全ではない。7位と苦戦するリーグ戦を欠場する苦渋の決断も下しながら調整を続け、同じように強行出場した準々決勝第2戦の川崎F戦以来、公式戦4試合ぶりの出場。「ここで無理をして、また次の上海戦(第2戦)に出られればいい。それくらい懸ける思いは強い」。CKを蹴った後、誰より早く守備へ駆け戻る姿があった。

 今季は既にルヴァン杯、天皇杯で敗退。無冠に終わるわけにいかない。7月には成績不振により、5年半をともにしたペトロビッチ前監督が解任された。柏木は広島時代から親子のような関係を築き、練習時間や強度で意見を求められることもあった。恩師の去り際には「下を向かず、前を向こう」と声をかけられた。柏木は「積み上げてきたものが間違ってなかったことを証明したい」と繰り返してきた。国内タイトル獲得が厳しい今、10年ぶりのアジア王者は最も欲しいタイトルだ。

 済州(韓国)との決勝トーナメント1回戦、川崎Fとの準々決勝は、ホームでの第2戦でそれぞれ2点差、3点差を逆転して勝ち上がった。めっぽう強い舞台に戻る前に、今回は優勝候補からアウェーゴールを奪って引き分けた。柏木は「もっと貢献するプレーができた」と表情を緩めなかったが、大きなアドバンテージを得て3週間後、得意の埼玉スタジアムで迎え撃つ。