浦和「爆買い」オスカル&フッキ完封した組織的守備

ラファエル・シルバ(左)の先制ゴールに沸く浦和イレブン(撮影・小沢裕)

 浦和レッズが1-0で上海上港(中国)を破って2戦合計2-1とし、優勝した07年以来、10年ぶりの決勝進出を決めた。前半12分、MFラファエル・シルバがヘディングで先制。市場価値が計61億7500万円という相手の強力ブラジル人トリオを日本代表DF槙野智章(30)同DF遠藤航(24)を中心に封じ込め、アジアの頂点に王手をかけた。決勝は11月18、25日にアルヒラル(サウジアラビア)と対戦する。

 勝利を告げるホイッスルと同時に、スタジアムに地鳴りような大歓声が響き渡った。ピッチ上の選手も叫び、抱き合い、大の字になり、喜びを爆発させた。前半12分に先制したが、耐える時間が続いた。槙野は「長かった。何度も時計を見てしまった」と振り返った。続けて「まだ何も成し遂げてはいない。もう2位のトロフィーはいらない」と言い切った。無失点に大きく貢献した日本代表は、すぐに次戦を見据えた。

 先発11人の合計市場価値は、相手の73億3000万円に対して浦和は18億9000万円。約3・9倍だった。中でもFWオスカルは28億6000万円、フッキは26億円と、それぞれ1人だけで、11人合計18億9000万円の浦和を上回っていた。だが槙野はマッチアップしたフッキに仕事をさせず、DF遠藤は随所に攻撃参加し、好機をつくった。代表2人が両サイドバックとして攻守に活躍。観戦した日本代表のハリルホジッチ監督も思わず「スーパーな試合。すごかった」とうなった。今は代表を外れるGK西川も後半23分、ピンチで好セーブを連発した。

 今季は失点数でここまでリーグ14位と守備が崩壊し、順位も現在7位と波に乗りきれない。ルヴァン杯も天皇杯も敗れ、狙えるタイトルはアジア王座だけ。遠藤は「リーグ戦も失点が多かったけど(昨年)ルヴァン杯で優勝した時のような雰囲気が出てきた」と、頂点への予感を感じ始めていた。

 この日に向けて、槙野はフッキのプレーをビデオで何度も見て研究するなど、各選手の努力の成果でもあった。西川は「組織で守れたことがこれからにつながる」と手応えを口にする。市場価値を払拭(ふっしょく)する勝利が、浦和を2度目のアジア王者へと加速させる。

 ◆市場価値 金額は移籍情報サイトのトランスファーマーケットより。選手を獲得するには所属クラブにいくら払えばいいのか推測した推定移籍金のこと。成績に加え、年齢なども考慮される。