清水河井266日ぶりホーム復帰戦「残留へ勝つ」

ヘディングでボールを返す清水MF河井

 今季のJリーグは、残り3試合となった。今季J1に復帰した清水エスパルスは、7勝10分け14敗で14位。J1残留争いに巻き込まれている。大ケガから復帰した副主将のMF河井陽介(28)は、攻守両面のキーマンだ。次節札幌戦(18日)に向け、31試合ぶりに臨むホームゲームと、J1残留への思いをインタビューで明かした。

 清水のホーム・IAIスタジアム日本平に、河井が266日ぶりに帰ってくる。約3週間の中断期間を経て、18日にリーグ戦が再開する。2試合連続の先発出場が濃厚で「自分の役割としては、前線の選手の特長を引き出すこと。僕のポジションが、攻守でキーになる。どれだけできるかが、チームに大きくかかわる。責任を持ってやりたい」と冷静に話した。

 今年は走れない、ボールも蹴れない時期が長かった。今季開幕戦のホーム神戸戦(2月・0-1)後半ロスタイムに、左アキレス腱(けん)を断裂。全治6カ月。「これだけサッカーから離れるのは、人生で初めてだった」。河井が離脱した間、チームも苦しんだ。ホームゲームで勝ちきれず、6月25日甲府戦(1-0)でようやく初白星と、今季わずか3勝。スタジアムの雰囲気は、だんだんと重くなっていった。「試合を見ながら、負けが習慣になってしまうのが怖かった。勝てないのが続くと、選手たちも硬くなるんだと思った」と振り返った。

 もやもやとした思いを抱えながら、別メニューでリハビリを続ける毎日。チームメートに声をかけることも、できなかった。「悔しさより、もどかしさ。みんながハードワークをして、勝ちに向かっている中で、ほんの少しのズレがあった。今振り返れば、勇気を持ってもっと発言したら良かったかなと思う。でも、選手は多くのことを感じながらプレーしているから、言うのは難しかった」。

 9月に全体練習に合流し、10月から実戦に復帰。前節アウェー東京戦(10月29日・0-0)で先発した。中盤からパスを散らし、攻撃にアクセントを加えた。しっかり守って攻撃を仕掛ける戦術を徹底し、アウェーで勝ち点1を手にした。「もう、戦い方はみんな分かっている。チャンスは多くても、点が取れないと勝てないのがサッカー。無得点の部分が、反省点」。

 得点を取るためには、決定力を上げる必要がある。今年のルヴァン杯決勝(4日)では、C大阪が川崎Fに2-0で初優勝。テレビ観戦し「最初のチャンスを仕留めたら、C大阪のような戦い方ができる。ぼくらもチャンスで決めることが、まずは大事になる」。C大阪とは昨季ともにJ2で戦い、清水は2位で自動昇格。C大阪は4位から、昇格プレーオフに勝利して復帰を果たした。「去年は同じカテゴリーだったチームが、今年はJ1の舞台でタイトルを取るところまでいけている。それが現実で、いい刺激になった。清水も来年こそは、という思いは強いけど、まずは目の前の試合で戦うことを考える」と思いを明かした。

 今季、河井が出場した2試合は1敗1分け。まだ勝利を体感していない。「勝っているときの、アイスタの後半最後の雰囲気が好きですね。声援の後押しがすごいので、勝てるなと思える。背中が押されている気になって、突き動かされる」とアイスタでの試合を心待ちにする。

 次節札幌戦で勝利すればJ1残留が決まる可能性がある。「まずは、札幌戦で勝ち点3が取れるようにしたい。1勝すれば、景色が変わると思う。みんなで喜ぶのが、サッカーをしていて一番うれしい。これをあと3回、経験したい」。チームメートとサポーターと、ホームで歓喜を味わうために、全力を尽くす。【保坂恭子】

 ◆河井陽介(かわい・ようすけ)1989年(平元)8月4日、藤枝市生まれ。藤枝東で全国高校選手権準優勝。慶大進学後は全日本大学選抜、U-20日本代表に選出された。12年に清水入団。J1通算109試合2得点。166センチ、59キロ。血液型A。