新潟、残留へ勝って天命待つ 小泉2戦連続V弾だ

練習前、円陣の中で指示を出す呂比須監督(中央)

 若き闘将が2戦連続ゴールでJ1残留への可能性をつなぐ。アルビレックス新潟は今日18日の第32節、15位ヴァンフォーレ甲府とデンカビッグスワンスタジアムで対戦する。残留をかけた直接対決で勝利が絶対条件。勝っても他チームの結果次第では降格が決まる状況下、MF小泉慶(22)は自身のゴールでチームを勢いづける覚悟だ。前節鳥栖戦(10月29日)で決勝ゴールを決めた男は、甲府戦でもその再現を狙っている。

 小泉は笑顔と真顔を瞬時に切り替えた。甲府戦を前にチームはウオーミングアップのみを公開。その後は非公開にして実戦形式を行った。アップ中のボール回しで、小泉は丁寧にパスを出した。仲間がパスミスをしたときは、笑顔でオーバーアクションをし、いじる。

 「勝つための準備はできた。みんな勝たなければならないことは分かっている」。やるべきことはやった。欲しいのは「少しでも多く点を取って勝つこと」(小泉)だ。勝ち点は甲府が28で新潟が19。それ以上に得失点差がある。甲府がマイナス16、新潟はマイナス35だ。ただ勝つだけでなく、より得点がほしい。「GK以外は全員シュートを打つくらいの気持ちで」とチームメートに得点への執着を促す。

 自らがその先頭に立つ。前節鳥栖戦で自身の今季2得点目になる決勝のミドルを決めた。右サイドバックの位置から駆け上がり、ゴール前でたびたびプレーした。守備を固める甲府に対しても、「打てるタイミングなら打つ」と得意の距離から積極的にゴールマウスに照準を定める。「1点決めたら、どんどん狙う」。自身初のリーグ戦2試合連続ゴール、1試合複数得点も視野に入れる。

 口癖は「新潟らしくアグレッシブに戦う」。球際で厳しく奪い合う、ルーズボールを全力で追う、プレスをかけ続ける。新潟の伝統の戦い方を、小泉は体現してきた。直近の3試合、新潟は2勝1引き分け。残留争いの土俵際で踏ん張り続けてきたのも「新潟らしさ」を出せているから。

 鳥栖戦後にリーグ戦は中断し、20日ぶりの公式戦。その間、小泉に気の緩みはなかった。「ここに来て続けて勝ち点を挙げても、まだこの状況。いい流れを続けなければ残留できない」。現状を再確認し、気持ちは引き締まった。

 連勝すれば15年の鳥栖(7月19日)、山形戦(7月26日)以来になる。それが残留への唯一の道。「生き残るために戦う」。小泉がチームの闘志をまとめ上げて先頭に立つ。【斎藤慎一郎】

 ▼18位新潟(現勝ち点19)が第32節での降格を回避するには、15位甲府(同28)に勝つことが絶対条件。引き分けか負けなら最大勝ち点が28に届かなくなり、J2降格が決定する。甲府に勝っても16位広島(同27)、17位大宮(同24)が勝てば降格する。

 ※大宮は第33節(11月26日)で甲府と対戦。そのため、大宮が第32節で勝利した時点で、大宮と甲府のどちらかが必ず勝ち点29以上になる状況が生まれ、新潟のJ1残留圏15位以内が消滅する。