札幌J1で16年ぶり残留決めた 敵地で清水を粉砕

清水対札幌 J1残留が決まってサポーターと喜ぶ札幌イレブン。左端は小野(撮影・丹羽敏通)

 北海道コンサドーレ札幌がJ1残留を決めた。

 14位清水エスパルスとの敵地での大一番を2-0で快勝。FWジェイ(35)の今季3度目のマルチ得点など立ち上がりから札幌ペースで試合を進めて、残留を争う清水を粉砕した。これで残留圏内の14位以上が確定し、残り2試合を残して、自力で16年ぶり2度目の残留をたぐり寄せた。アウェー側スタンドには約2000人の札幌サポーターが駆けつけ、歴史的瞬間を見届けた。

 冷たい冬の雨はいつしか上がり、試合後、バックスタンド後方にそびえ立つ富士山が、くっきりと姿を現した。前半11分にFWジェイが先制点を決め、早い時間帯から試合は札幌ペース。公式戦4連勝中と相性の良い清水相手に2-0の完勝でJ1残留を決めた。四方田監督は「選手たちが自力で残留を決めるという強い気持ちを持ってプレーしてくれた。最大の目標を達成できた」と喜びに浸った。

 派手さはなくても、堅実で的確な補強が光った。開幕前に加入したMF兵藤、横山、早坂が主軸として活躍。今夏には圧倒的な決定力を誇る元イングランド代表FWジェイ、タイ代表MFチャナティップ、DF石川が加わり、チームの躍進をけん引した。

 9シーズンを送った横浜に別れを告げたMF兵藤は「最初は練習中にも、もどかしさを感じていた」。紅白戦では、球際での厳しさに欠けているように感じ、対人の当たりも弱い。Jリーグ発足当時からの名門を長らく支えた背番号6にとっては、物足りなく映った。

 チームを変えたのは、5月14日の第11節G大阪戦(札幌ドーム)から始まった6連敗だ。「衝突しないと、強くはなれない。伸二さんとかベテラン選手の発言がありがたかったし、うまくバランスが取れるようになった」と兵藤。練習中、互いに厳しい指摘を言い合う回数がぐんと増えた。

 守備からカウンターを狙うというベースは崩さず、シーズンを通してプラスアルファを求め続けた四方田監督は「『○○しろ』と命令口調ではなく『○○しよう』という言葉を使うよう心がけた」。小学生の時に「テレビで金八先生を見て指導者を目指そうと思った」という指揮官のタクトさばきに、選手たちが結果で応えた。

 残留決定は通過点にすぎない。年間最高順位は01年の11位。残り2試合。あくまでも勝利を追い求めていく。【中島宙恵】

 ◆札幌のJ1残留 ディビジョン1、2の2部制になった99年以降、J1に在籍したのは01、02、08、12、17年。岡田武史監督が率いた01年に30試合10勝5分け15敗、リーグ11位でJ1に残留した。2年連続J1はこの01、02年の1度だけで、02年は16位、08年18位、12年18位で、J2に降格した。

 ◆J1残留争い 札幌は18日の第32節清水戦に勝ち勝ち点37で順位は13位。リーグ戦は残り2試合。J2降格圏(16位以下)の16位甲府は勝ち点28で全勝しても34、前節まで16位の広島はこの日の神戸戦に勝ち30で15位に浮上したが、残り2試合全勝でも36。広島以下の4チーム(15~18位)は札幌を勝ち点で上回る可能性がなくなり、札幌は来季J1残留と14位以上が確定した。