西川、代表落選どん底状態を救った妻とコーチの言葉

後半、シュートに反応する浦和GK西川(撮影・山崎安昭)

 完封で10年ぶりの優勝に花を添えた浦和レッズGK西川周作(31)が手記を寄せた。今季、国内無冠、監督交代と試練を迎えたチーム同様、自身も日本代表から落選するなど厳しい時期を過ごした。本来のパフォーマンスを取り戻した裏には、今年で結婚10年になる妻亜美さんと土田尚史コーチの支えがあった。

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 今季は自分がイメージしている結果が出ず、苦しい時期もありました。代表に入れなかったことも悔しかった。19歳からA代表に入って五輪代表も経験して、ずっと入り続けていましたし。初めての経験でした。

 代表落選後の6月、7月の2カ月間は特に精神的にも波がありました。今だからこそ言えるけど、おかしくなっていた。家でも何もしたくない、無気力のような状態でした。いつもは家事もするんですが…。だらけて寝てばかりだったり、人としての価値もないくらい、使えない人間になってしまいそうだった。

 チームでもGKとしてスタメンを外れてもおかしくない結果でしたし。その2カ月はリーグ戦で無失点が1度もなかった。明るく元気よくやろうとは思うけど、結果を出せない自分にもどかしさを持ちながら戦っていました。チームが勝っても、どこか納得できていない自分がいた。笑顔でいるのが少しつらかった。

 そんな自分を奥さんが受け入れてくれた。代表から落選して苦しかった時期、「代表に入る入らないで変わってしまうのはよくないよ。評価してくれる人は一番身近にいる。ペトロビッチ監督だったり堀監督だったり、尚史さん(土田GKコーチ)だったり。そういう人を大事にした方がいいよ」とアドバイスをくれた。「順番を忘れてはいけないよ」と。それを聞いて、チームで結果を出すことに集中しようと思えました。

 そうして尚史さんとたくさん話をして「確実なことを確実にできるGK」という浦和でのテーマからぶれずに基本練習から見つめ直しました。うまくいっていないときは他を見がちで、自分の原点を忘れがちでした。尚史さんにいいアドバイスをもらい、ぶれずにやれて良かった。頑固な僕にとって、結果を残せない自分の現状を受け入れるということは30歳になって与えられた壁でした。2人がいたから、立ち上がれました。使い続けてくれたペトロビッチ監督と堀監督にも感謝しかありません。

 来年ACLに出られないのは残念ですが、また次に出られるように。そしてリーグタイトルをとりたいです。クラブW杯では1つ勝てばRマドリードとの対戦がありますが、トーナメントの反対側にはパチューカがいる。決勝で本田圭佑選手と対戦したいですね。(浦和GK西川周作)

 ◆クラブW杯 クラブチームの世界一決定戦。00年に第1回が開催され、第2回の05年から欧州王者と南米王者が戦うトヨタ杯の代わりとなる6大陸王者によるトーナメント方式で行われ、07年の第4回から開催国枠が新設された。17、18年はUAEで開催される。