鹿島昌子源「大丈夫」の雰囲気作り大事/岩政大樹

岩政大樹(左)と昌子源(スカパー提供)

 サッカー元日本代表DF岩政大樹(35=関東1部リーグ東京ユナイテッド所属)が、J1鹿島アントラーズの後輩、日本代表DF昌子源(25)とディフェンス論に花を咲かせた。

 岩政はスカパー!のサッカー情報番組「スカサカ!ライブ」の対談コーナー「今まさに聞く!」のメーンキャストとして、かつて鹿島で一緒にプレーした昌子をインタビュー。日本代表にも定着し、Jリーグを代表するセンターバックとなった昌子に対し、互いの見解をぶつけた。

 12月22日(金)の初回放送(21時~)を前に、サッカーファン必見のインタビューの一部をここで紹介する。

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 岩政 特に僕がいなくなった時が2013年で、14年から一気にスタメンになったじゃないですか。

 昌子 そうですね。

 岩政 で、意気込んでたのは、もちろんあったと思いますけど、今思うとどうですか? 当時の自分というのは。

 昌子 いやでもやっぱり怖かったですよ、ホントに。センターバックというポジションが多分、そうさせたんだと思うし、僕がもしフォワードでずっといたら、「絶対点とってやる!」とか思って、別に失敗とか多分恐れなかったですけど、失敗したら失点じゃないですか、出始めじゃないですか。「もう終わる…」と思ってたんで。だからもう、すごく一生懸命やったのを覚えてます。

 岩政 センターバックで一番試合出てるような、もう中心みたいになっちゃったじゃないですか。

 昌子 そうですね、はい。

 岩政 で、そうなってくると、チームをもちろん引っ張らなきゃいけないところもあって、そういうこう…何て言うんですかね、2、3段階ぐらい抜けていっちゃったみたいな感じがあったじゃないですか。

 昌子 僕は最初、2014年に出た時、青木さんと組ませてもらってて、青木さんが3節ぐらいで退場したんですよ。で、植田になって。そこからずっと僕と植田になったんですよ。僕も青木さんからずっと学んでて、もちろん大樹さんとか中田浩二さんとかを見て学んでたんですけど、青木さんが急にいなくなったというか、出られなくなって直(植田)になったら、次は僕が引っ張らないといけないというので、そういうのでも結構あのシーズンはしんどかったですね。何を言えばいいのかも分からないし、じゃあプレーで見せるといってもそんなに、まだ僕も出始めで分からないしで。結構、鍛えられましたね。

 岩政 その時に、何を考えて自分で、ここ、どうしていこうという風にやってました? 必死だったのももちろんあると思うんですけど、その中で、どういうことを考えてました?

 昌子 こんなこと言ったら何か、ちょっとかっこ悪いんですけど、正直その時はチームのためとは思ってなかったです。もう自分のために、やってました。今とは全然違う考え方で、プレーをしてました。

 岩政 その感覚って、すごく若手に大切ですよね。それが意外と、最初にチームから入っちゃうと、なかなか伸び伸びやれないけど、あそこで思い切って、自分にまずフォーカスしてやれたっていうのはすごく、大きかったですよね。

 昌子 まぁ一応先輩とかになったんで、僕が直を引っ張ろうと思ってたんですけど、もう実際に直のこととか考えてなかったです。もう全部自分のためにやろうと思ってやってたのが、良かったのかなと。今はチームのために考えてやったりしますけど、その当時は、周りのことなんか気にしたことなかったです。

 岩政 へぇー。そのメンタリティーって、僕も最初ね、付き合ってるからよくわかるけど、そのメンタリティーがない子って、なかなか若い時から出てこないんですよ。だから僕は昌子選手は、必ず若い時からくると思っていて。

 昌子 ありがとうございます。

 岩政 そのメンタリティーって、どうなんだろ。元々持ってる性格的なところもあると思うんだけど。ポジティブですか?自分としては。

 昌子 ネガティブから入ります。

 岩政 あ、ネガティブなんだ、一応。

 昌子 相手のスカウティングするじゃないですか。相手の守備のスカウティングすると、だいたい弱点とか言うんですよね。入れられてるシーンとか。

 昌子 でも相手の攻撃のスカウティングになると、いい部分ばっかり挙げるんですよ。僕ら守備の選手は。

 岩政 確かに。

 昌子 こいつらメッチャうまいやん!と。

 岩政 そうそうそうそうそう!

 昌子 すごく良く映るんですよ。

 岩政 わかる、わかる! うん!

 昌子 だから「すげぇ、こいつら絶対うまいわ…」とか。相手が点決めたシーン見たら、あー俺がこれ相手の立場だったら、俺もやられてたな…とか思うんですよ。で、試合になれば、「よっしゃ、やったろ!」みたいな感じですね。だからネガティブから入ります。でも何かこう、2014年の時とかもそうでしたけど、点入れられた時、特に僕のミスから入れられたら、すごく引きずってたけど、今は別に何言われようが、全然ビクともしなくなりました。

 岩政 ネガティブとか、もしくは自分がそうやって落ち込んでたって、おっしゃってるんですけど、多分、周りの選手は、そこまで見えてなくてってところは、そういう風に見せてるところはあるんですか?

 昌子 いや、気にしてはなかったです。今はちょっとこう、ありますよ、やっぱり。

 岩政 見せられないっていう。

 昌子 そうですね。直もいて、前には(三竿)健斗もいて、もちろん失点しても「大丈夫!」って言うし。僕、町田と組む時も、神戸戦を観たかわかんないですけど、町田のマークから入れられた。ああいう時もやっぱり、「全然大丈夫だから下向くな!」って言われましたし。僕、Jリーグ初先発、初出場じゃなくて初先発を僕、FC東京戦でホームやったんですよ。で、大樹さんのミスで入れられたんですよ。

 岩政 えっ?

 昌子 言っちゃ悪いけど、僕からしたら、初スタメンで「大樹さんやってくれた…」みたいな、「何してくれとんねん!」みたいな感じでやっとったら、大樹さんは全然悪そうじゃなくて、「ごめん! 源!」みたいな、「切り替えてやろう!」みたいな、「大丈夫やから」みたいな言ってくるんですよ。でも、言いたいのは俺なんですよ。

 岩政 (笑い)

 昌子 「大樹さん大丈夫! 大樹さん大丈夫! そんなの気にしないでください!」みたいな。

 岩政 あ、なるほど。

 昌子 やのに何か、あたかも「お前が悪い」みたいじゃないですけど、「源、大丈夫やから」みたいな。言ってきて大樹さんが。

 岩政 (笑い)

 昌子 それで実際、逆転したんですよ。逆転で勝ったんですよ。

 岩政 勝ったのは覚えてる俺。

 昌子 で、ホンマに大丈夫なんや。センターバックなんで、1点も入れられないのがベストですけど、「1点入れられても大丈夫だから! 俺たちに任しとけ!」みたいなという空気を作ってくれたんで。だから僕も特に町(町田浩樹)とか、もう直はね、ずっと出てるんですけど、最近出始めた子、町とかそういう選手には「大丈夫だから!」。で、神戸戦ですよ。町のマーク入れられました。「町、大丈夫!」。そのまま負けました(笑い)

 岩政 (笑い)まあでもね、試合の中で大丈夫! と言うことが大事だから。

 昌子 でもそのまま負けてしまったので、ちょっとあれでしたけど、そういう雰囲気を先輩の僕らが今、作っていくというのは、大事なのかなというのは、そういうので学んできましたね。

 

 ◆放送情報 スカサカ!ライブ 「今まさに聞く ~鹿島アントラーズ 昌子源篇~前編」

 ▽初回放送 12月22日(金) 21:00~22:30

 ▽放送チャンネル  スカサカ!(800/580)他 ※再放送多数