仙台新加入の阿部、名刺代わりのキャンプ1号弾

キャンプ3日目のミニゲームで激しくボールを奪い合う、新加入の選手たち。左からFWジャーメイン、MF庄司、FW阿部(撮影・下田雄一)

 ベガルタ仙台の新加入FW阿部拓馬(30)が、名刺代わりのゴールを決め猛アピールした。チームは18日、糸満市西崎陸上競技場で初の実戦形式となる8対8のミニゲームを行った。その中で新加入の阿部が、キャンプ第1号を決めるなど2得点と、早くも存在感を見せつけた。16年から在籍したFC東京時には、グロインペイン症候群(股関節の痛み)を発症するなど、ケガに悩まされ続けたストライカーが新天地で輝きを取り戻す。

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 転がり込んだ好機は必ず仕留める。阿部が、自慢の決定力を見せつけた。1点目、左サイドから入ったボールにフリーで反応。「キーパーが前に出ていたので」と右45度の位置からゴール上段に決めると、直後に「前が空いていたので」とドリブルから左足でゴールを射抜いた。仙台渡辺晋監督(44)は「素晴らしいシュートだった。アタッカーなのでミニゲームでもゴールを決めることはいいこと。戦術的に少し動きすぎるところはあったが、これからでしょう」と評価した。

 昨季、複数クラブからオファーを受けた。高額オファーを提示するクラブもあったが仙台に移籍することを決断した。

 阿部 いつも金額では決めていないので。仙台が欲しがってくれて単純に仙台でやってみたいなと思いました。この2年間、1シーズンまともに試合に出られてない。シーズンを通して離脱しないように頑張りたい。

 16年にサッカー選手の職業病でもあるグロインペイン症候群を発症、以来痛みに悩まされ続けてきた。

 阿部 今もそうですが、ケガといかにつきあっていくのか。東京ではなかなか結果が出せなかったので、試合に出て結果を残したい。ケガをする前は、考えずにゴリゴリとプレーができた。ケガをしないことがどれだけいいことか身に染みて思いましたが、周りの選手のプレーが見えるようにもなった。周りを生かす動きもできるようになった。

 ケガによって、阿部のプレースタイルは明らかに幅広くなってきた。

 阿部 希望はFWですが、色々なポジションをやってきたので前向きに取り組んでいきたい。練習もそうですが公式戦で決めることが大切。今はまだ始まったばかりなのでみんなの特徴がまだ分からない。これから高めていきます。

 逆境を味方に進化を遂げた阿部が、新たな1歩を踏み出した。【下田雄一】