札幌、ボランチ争い佳境 明日J3北九州戦が試金石

ボールを追うMF兵藤(左)(撮影・西塚祐司)

 北海道コンサドーレ札幌のボランチ争いが、佳境を迎えている。今季就任のミハイロ・ペトロビッチ監督(60)は、3-4-2-1の2ボランチを採用。昨季32試合出場のMF兵藤慎剛(32)を筆頭に、ルーキーからベテランまで6選手が争っている。明日17日のJ3ギラヴァンツ北九州とのプレシーズンマッチ(福岡・ミクニワールドスタジアム北九州)が、開幕スタメンへの試金石となりそうだ。

 ペトロビッチ体制下、ポジション争いは横一線でスタートした。沖縄、米ハワイ、熊本と続くキャンプの練習試合、練習中のミニゲームで、選手たちは昨季までの実績は関係なく、平等にプレー機会を与えられている。ボランチの2枠も同じだ。昨季は先発で組むことが多かった兵藤と宮沢、元日本代表で経験豊富なMF小野と稲本、大ケガからの復活を期す深井、そして新加入の藤村。若手からベテランまで、ペトロビッチ監督はさまざまな組み合わせを試し、チェックを続けている。

 “ミシャ流サッカー”で最も重要な位置でもある。攻撃時は数的優位を作るため、リスクを負ってでも人数を増やし、仕掛ける必要がある。ボランチに求められるのは、攻守のバランスを考えながら動き、周囲も動かすこと。当初は戸惑いもあったという兵藤は「ピッチを広く見渡すことが求められる。だいぶナチュラルに動けてきている」という。ボールの動かし方について、小野は「(パスの)長短の使い分けは、去年以上にこだわっている」と話した。

 昨年の熊本キャンプでは、約3分の1の選手が故障で全体練習に参加できない時期もあった。離脱者が少ない今年の状況を、小野は「みんな競い合って個人がレベルアップすれば、チームに反映される」と歓迎。練習場では選手たちの“ガチ”のアピールが続けられている。背番号8を任されながら故障に泣いてきた深井は「(ボランチがチームを)しっかりマネジメントできれば」と役割を理解した上で「僕自身、やれる自信がある」と言い切った。

 実績がある兵藤も、油断は一切ない。「誰もポジションは確約されていない。全員が高いモチベーションでやることが大事」。明日17日のJ3北九州戦。得点にからみ、失点につながる危機を察知、防いだ選手が、開幕へのアピール成功となる。【西塚祐司】