湘南曹監督、レアル下部選手は「今すぐプロ出来る」

Rマドリード・カデーテB対湘南U-15 決勝で敗れ、悔し涙を浮かべる湘南U-15の選手たち(撮影・村上幸将)

 J1湘南ベルマーレの曹貴裁監督(49)が、トップチームの練習を終えた足で、レアル・マドリードの下部組織カデーテB(15歳以下)対J2大宮アルディージャ・ジュニアユース戦、湘南U15との決勝戦の2試合を視察した。

 曹監督は「うちのジュニアユースも3、4試合連続で見る中で、成長していると思ったし、その中でも世界最高のチームと出来た。(負けて)うちの選手も泣いていたみたいだけど、一瞬のパススピード、ゴールに向かう時の迫力は完全に相手の方が上。こういう試合を、日本の湘南の地でやれたということは、湘南の選手だけでなく、ここでやれた選手にとっては財産。初めてと聞いていますけど、いい大会になりました」と大会の意義を強調した。

 Rマドリード・カデーテBのMF中井卓大(14)については「やっぱり、ボールを持った時の姿勢とか判断の質とかは、いいものを持っていると思いますし、あとはフィジカル…体を鍛えれば。スペインでもあれだけ長く(9歳から)やっているということで、メンタル的な強さも備えていると思う」と評した。そして「1人の指導者として陰ながら見守っていってあげたいなと思いました」と期待した。

 中井のチームメートでは、大宮ジュニアユース戦のハットトリックを含め、7ゴールで得点王に輝いたFWイスラエル・サラサル、同戦と湘南U-15戦で2戦連発し、MVPを獲得したブルノ・イグレシアス、中盤から鋭いパスを繰り返し、前線に通したMFネストル・ルカスが目を引いたという。「プロでも10~15分、今すぐにでも出来るんじゃないか? みたいな…すごく良い選手だなと思いますし、ボールを持つときの姿勢がすごくいい。パスもドリブルもワンツーも、全部出来るような状態でボールを持っている子が多くて」と絶賛した。

 その上で、湘南U-15をはじめとした日本の各チームと比較し「差はありますね。それと、まだまだうちの選手に比べて、まだここから伸びるんじゃないかという選手が多い気がする。聞けば年間、半分くらいは選手が入れ替わると聞いていますし、そうした状況の中で…というのはありますけど、非常にのびしろを感じるチームだった」と、Rマドリード・カデーテBは現状、すごいだけでなく、その先の成長も感じさせるチームだったと評した。

 また「日本の育成(年代)の子は、まだヘッドダウンして(足元のボールを見て)しまう。選択肢が狭い子が、うちの選手もまだ多い。ああいうのを学んで…僕も勉強になりましたし、指導者全体で我々も考えていかなければいけないと思います」と、日本の育成年代の課題も指摘した。

 ただ、湘南U-15も、トップチーム同様、縦に速く走力を生かした攻撃サッカーで対抗し、後半9分など何度か決定機を作った。曹監督は「ユースもジュニアユースも湘南の色というのを大事にしている。僕も時間があったら見に来たりしますし、小学生から大事にしていること。試合でも、そういうところを見せられたのは良かったと思う。今日は、決勝であまりプレスがかからなかったでしたけど、ボールを持った時に連続して動いて、縦に行った時はチャンスも作れたし、ゴールに向かうところは通用したところもある」と、トップから一貫した“湘南スタイル”を見せられたことは評価した。その上で「バリエーションが、まだ少ないな、という感じもした。トップチームもそうなんですけど…こういうところで学んで、やっていかなければいけないなと思いますね」と改善点も口にした。

 湘南とJ3のSC相模原は、大会の運営に協力し、下部組織が大会に出場した。【村上幸将】