仙台FW西村2発、名古屋の反撃耐えしのぎ2位浮上

名古屋対仙台 前半、右足ダイレクトでゴールを決め歓喜する仙台FW西村(撮影・下田雄一)

 ベガルタ仙台がアウェーで名古屋グランパスを3-2で下し、2位に浮上した。前半23分、FW石原直樹(33)が混戦からこぼれ球を押し込み先制。FW西村拓真(21)も2発で続いた。前半から高い位置からのプレスで名古屋のパスサッカーを封じ込めたが、後半42分にDF大岩一貴(28)がレッドカードで一発退場。相手エースのFWジョー(31)にも2ゴールを許したが、リーグ戦では今季初の複数得点を挙げ、逃げ切った。

 西村がスーパーボレーで、温存していた相手エースを引きずり出した。1ー0で迎えた前半37分、蜂須賀からのヘッドの浮きパスを右足ダイレクトで反応し、ゴールネットを揺らした。「信頼してハチさんがしっかりと落としてくれた。ふかすと思っていたけど、冷静に合わせることができました」。歓喜の雄たけびを上げ、名古屋ベンチに向かって膝から滑り込むと、家族や地元名古屋の友人20人へガッツポーズ。たまりかねた名古屋ベンチは、15連戦を見据えて休養させていたエースのジョーを緊急投入。2点目のゴールで相手のゲームプランを狂わせ、主導権を掌握した。

 前半23分には、先制ゴールの起点となった。右サイドでボールを受けると、「たまたまうまくいった」と逆サイドに深くフリーで進入したMF永戸勝也(23)にアーリークロスを供給。ここから波状攻撃のスイッチが入った。石原がヘッド、そのこぼれ球をゴール前に動き直した西村が右足で強烈なシュートを放ち、最後は石原が相手GKがつかみ損ねたボールを左足で押し込んだ。

 チームは今季、3-4-3システムの成熟度が上がり、両ウイングバックからの効果的なクロスで好機を演出し続けている。クロス本数に限れば、右のMF古林将太(26)と左の永戸を中心にリーグ最多をマーク。だが、今節はリーグ最多となる43本のクロスを供給してきた古林が、前節のアウェー浦和戦で左太ももに違和感を訴え離脱した。その穴を、今季リーグ戦初先発となるMF蜂須賀孝治(27)が1アシストの活躍で埋めた。

 後半23分には西村のダメ押しゴールで突き放したが、相手の反撃にも遭った。渡辺晋監督(44)は「最後はアクシデントがあったが、しっかり勝ち切れたことは我々にとっての進歩。3点目のゴールはこの力で決めた素晴らしいゴールでした。(居残り)練習の成果が出てきたと思う」と、リーグ戦で今季3点目をたたき出した西村をたたえた。大岩を退場で欠いたが、1試合平均27・5本とリーグトップのタックルで耐えしのぎ、アウェーで貴重な勝ち点3をつかみ取った。【下田雄一】