札幌ペトロビッチ監督「楽しんでいこう」古巣浦和戦

練習を終え、ピッチを後にする札幌のペトロビッチ監督。奥はクールダウンする選手ら(撮影・保坂果那)

 クラブJ1初の4連勝をかけ、北海道コンサドーレ札幌は今日21日、浦和レッズと埼玉スタジアムで対戦する。ミハイロ・ペトロビッチ監督(60)にとって、昨年7月まで率いた古巣との公式戦初対戦となる。現在、リーグ戦で5試合連続負けなしと好結果を引き出している手腕を、かつての本拠地でも発揮する。

 自信があらわれていた。さいたま市内での前日練習を終え、ペトロビッチ監督はご機嫌だった。口笛を吹きながら、ピッチを後にした。最後に選手を集めて呼び掛けた。「アウェーでの内容はいい。浦和だからといって怖がることはない。楽しんでいこう」。自身にとっては5シーズン以上指導した古巣との試合。「見る方にとっては非常に興味深い試合だと思う」と、注目は感じているが「34試合のうちの1つ」と、冷静さを保つ。

 長年のキャリアが、熱さを鎮める。「私もまだ若いころは(古巣対決に)特別な思いを持ってやっていたものだけど、慣れてきた」と笑った。かつて指導していた教え子たちとの再会は「非常にうれしいもの」と心待ちにする。だが、試合となれば別だ。「これまで通りノーマルに、プロフェッショナルに戦っていきたい」と全力でぶつかっていく。

 離れても、常に気に掛けている。浦和は開幕から5試合勝ちなしと苦しんだ。現在札幌と同じく3連勝中と息を吹き返し「これが浦和にとってはノーマル。個々の能力が高い選手がそろっているのだから」。連敗すると試合後、サポーターにバスを囲まれた苦い思い出話を披露しながら、実力を認める。前節14日柏戦後の会見で「浦和は私がいた時はすごい選手がたくさんいたと言われていたけど、今は選手が足りないと言われている」とチクリ。ペトロビッチ監督流のエールを送っていた。

 札幌にとってJ1初の4連勝、さらに引き分け以上なら、6試合連続負けなしの最長記録がかかる。勝ち点14は第8節終了時点ですでに12年シーズンと並んでいる。過去と違う姿を見せている新生・札幌の指揮官として「どのチームにも互角以上の戦いを見せられている。見ている人にとって、おもしろいゲームになれば」。敵地として乗り込むかつての主戦場で、腕を振るう。【保坂果那】